【強力】アハトアハトの語源と歴史【88mm Flak36 戦車】

「アハトアハト」とは、おそらく多くの人が聞いたことはない言葉でしょう。

もし知っている人がいるなら相当な博識かミリタリーマニアかもしれません。

こう書くとお分かりかもしれませんが、「アハトアハト」とは軍事に関係する言葉なのです。そのアハトアハトの語源と、どのような歴史を辿ったのかを解説します。

アハトアハト

記事の内容

  • そもそも「アハトアハト」とは何?
  • 88mm Flak36アハトアハト
  • 開発の経緯とドイツのウソとFlak36登場
  • Flak18にまつわるドイツの大嘘
  • ついにFlak36が登場
  • 第二次世界大戦でのアハトアハトの活躍
  • アハトアハトの水平射撃
  • アハトアハトの対戦車戦
  • 北アフリカ戦線での活躍
  • アハトアハトに用いられた弾
  • ティーガー戦車に搭載されたアハトアハト
  • まだまだあるアハトアハトの世界
  • アハトアハトのプラモデル
  • アッシュアームズのなかのアハトアハト
  • 艦これのなかのアハトアハト
  • ワールドオブタンク(wot)とアハトアハト
  • 「アハトアハト!そいつは素敵だ、大好きだ!」
  • 総括

そもそも「アハトアハト」とは何?

「アハトアハト」の「アハト」とはドイツ語で8を意味する「acht」のことです。

つまり「アハトアハト」は「8・8」ということになります。

ではそれは何を指す言葉なのでしょうか?

アハトアハトとは

88mm Flak36アハトアハト

最初に答えを言ってしまうとアハトアハトとは、第二次世界大戦時ドイツ国防軍によって運用されていた口径8.8cmの高射砲のことです。つまり高射砲の口径から「8.8」=「アハトアハト」と呼ばれるようになったのです。

高射砲とは地上から上空の航空機を攻撃するための火砲で、ドイツ語ではFlugabwehrkanone(対航空機砲)と言い、略して「Flak」という名前が兵器名に付けられています。第二次世界大戦において最も活躍し有名なものが「8.8cmFlak36」という名の高射砲です。

開発の経緯とドイツのウソとFlak36登場

後に航空機を攻撃するための火砲として進化する高射砲ですが、スタートは1870年に開戦された普仏戦争において観測用気球を撃つためプロイセン(後にドイツ)のクルップ社が開発した「気球砲」です。

その後攻撃目標が気球から飛行機に代わり、求められる性能も高くなりました。目標が高高度を高速で飛行する飛行機であるため、大仰角かつ早い旋回速度であって、なおかつ高い初速が必要なため長砲身というという特徴をもつようになります。

ドイツは第一次世界大戦の敗戦により、高射砲を含むほとんどの兵器開発を禁止されていたのでクルップ社の技術者は、スェーデンの兵器メーカーであるボフォース社と共同で高射砲を極秘開発し、これがアハトアハトの原型となりました。

ボフォース社が量産を行った高射砲は7.5cmという口径でしたが、クルップ社はこれを8.8cmに拡大・改良し「Flak18」として生産を開始します。

Flak18にまつわるドイツの大嘘

Flak18の「18」という数字ですが、1918年に生産を開始したという意味です。

しかし実際に生産が開始されたのは1928年なのです。なぜこのような偽装工作をしたのかといえば、「Flak18」という高射砲はドイツが第一次世界大戦後のベルサイユ条約により新規開発が禁止されている兵器にあたり、「実は1918年(第一次世界大戦時)に開発も完了し保有していた」というウソの裏付けのためなのです。

ついにFlak36が登場

兵器というものは実戦経験がなければ有効性や問題点が分からないものです。ところがドイツの高射砲Flak18やその他兵器に「その機会」が訪れました。1936年から始まったスペイン内戦です。反乱軍側に義勇軍としてドイツ国防軍が参加し、アハトアハトや航空機などの新兵器にとって格好の試験場になったのです。

Flak18はそこでの経験をもとに改良を加えた「88mm Flak36」を完成させました。射撃方向の切り替えを電動モーターで行えたり、砲身の交換が簡単に出来るようになったり、より実践向きに改良されました。

第二次世界大戦でのアハトアハトの活躍

1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドに侵攻したことで始まった戦争はその後世界規模に拡大し「第二次世界大戦」といわれる大きな戦争になりました。

そのなかでアハトアハトは大戦果をあげ続け、味方からは歓声をうけ敵からは恐れられる兵器でした。

第二次世界大戦におけるアハトアハトの活躍ぶりを見ていきましょう。

第二次世界大戦でのアハトアハトの活躍

アハトアハトの水平射撃

アハトアハト「88mm Flak36」はもともと上空の航空機を撃つための高射砲ですが、設計段階から水平射撃が可能なようになっており、その擦れた照準能力と長い射程距離により地上戦にも使用できる多用途砲として大活躍します。

そのため陸軍に配備されたアハトアハトの多くは、指揮標定装置など対空射撃に必要な装備を外し、陸上戦に特化したものです。

アハトアハトの対戦車戦

第二次世界大戦で活躍したアハトアハトですが、なんといっても対戦車戦での働きがその名を大きく轟かせることになりました。高射砲だったアハトアハトを最初に対戦車戦へ用いた話には諸説あり、一番有名な説はのちに「砂漠の狐」と敵軍から畏敬されるロンメル将軍が用いたとされる話です。

1940年フランスへ侵攻したドイツ軍ですが、当時は装甲師団も軽戦車が中心であり、対戦車用の火砲も3.7cmと小口径のものでした。その火力ではイギリス軍のマチルダⅡ歩兵戦車などの重戦車相手では全く歯が立ちませんでした。

5月21日ロンメル少将が指揮する第7装甲師団がフランスのアスラで、イギリス・フランス連合軍に側面を攻撃され窮地に陥りました。その際マチルダⅡ歩兵戦車に対してアハトアハトを対戦車砲として使用することで対抗し、空軍の協力もあり防戦に成功しました。

この戦いで8.8cm高射砲が戦車相手に絶大な威力を発揮することが証明されたのです。

北アフリカ戦線での活躍

北アフリカ戦線での活躍

イタリアの独裁者ムッソリーニが抱いていた「地中海の覇者」という夢を実現するため、1940年9月12日イタリア軍はイギリスの軍事支配下にあったエジプトへ侵攻しました。

しかし12月にはイギリス軍の反攻作戦によって壊滅的な損害を被り、ヒトラーへ支援を要請し、それによってロンメルは北アフリカ戦線へ派遣されました。

北アフリカ戦線では砂漠地帯という特性から相手から発見しづらく、しかも戦闘当初はイギリス軍戦車が徹甲弾(戦車を射撃するための弾丸)しか装備していなかったことから、ほとんど一方的に勝利しました。一個中隊(アハトアハト6門)でイギリス軍のマチルダⅡ歩兵戦車を90台近く破壊したこともあったくらいです。

アハトアハトの活躍と縦横無尽かつ神出鬼没な戦術によって、ロンメルはいつしか「砂漠の狐(Desert Fox)」という異名をとり、騎士道精神あふれる戦い方からイギリス軍からも賞賛されるようになりました(ただイギリス軍内部では過度にロンメルを神聖化すべきではないという命令が出されていた)。

最終的にはアハトアハトの活躍やロンメルの超人的指揮だけでは如何ともしがたい物量差で、イギリス・アメリカ連合軍の前に敗れることのなってしまいました。

アハトアハトに用いられた弾

当初は高射砲として設計されたアハトアハトは対空戦闘用の榴弾(破片により周囲に被害を与える弾丸)の使用が主でした。しかし地上戦で戦果を出し始め、主な任務が対戦車戦になっていく過程で徹甲弾(戦車の装甲を貫徹するための砲弾)がメインになりました。

第二次世界大戦後期になってくると、さらに威力を高めた「高速徹甲弾(硬芯徹甲弾)」も採用され、対戦車戦で絶大な威力を発揮したのです。

もちろん当初の目的である対空戦闘でも戦果は大きく、連合軍のパイロットたちに恐れられる存在でした。

ティーガー戦車に搭載されたアハトアハト

第二次世界大戦中に登場した戦車で最強と言われているのが、ドイツ陸軍のティーガー重戦車です。

敵の弾丸を寄せつけない重装甲と、敵主力戦車を1600メートル以上の距離から撃破できる強力なアハトアハトで連合軍から恐れられた存在でした。

実際に搭載された戦車砲はティーガーⅠが「Kwk 36L/56」、ティーガーⅡが「Kwk 43L/71」という改良版で、ツァイスのTZF9b照準器の正確さと相まって常に優位な戦闘を続けたのです。

ティーガー戦車に搭載されたアハトアハト

まだまだあるアハトアハトの世界

アハトアハトの世界

第二次世界大戦で大活躍したアハトアハトこと「8.8cmFlak36」ですが、戦争が終わって80年近く経つ現在でも「アハトアハト」という言葉を目にする機会が少なくありません。

ここではそんなアハトアハトの世界をご紹介していきます。

アハトアハトのプラモデル

プラモデル化される陸上兵器は戦車が圧倒的に多いのですが、少ないながらも大砲もプラモデル化されています。アハトアハトはその中の一つで、タミヤのミリタリーシリーズでもラインナップに加わり、それは「8.8cmFlak36・北アフリカ戦線仕様」です。

ロンメル将軍のもと大活躍したアハトアハトが高射砲兵8体とともに、忠実に再現されています。

アッシュアームズのなかのアハトアハト

アッシュアームズとは戦車や航空機を擬人化した「美少女×ミリタリーシミュレーションRPG」というジャンルのゲームです。

ゲーム中のアハトアハトも優秀なキャラクターとなっており、対空戦闘でも対戦車戦でも力を発揮するあたりは、史実を忠実に再現していると言えます。ゲーム難易度が上がるほど活躍する頼もしい存在です。

艦これのなかのアハトアハト

「艦隊これくしょん-艦これ-」は擬人化された軍艦(艦娘)を集め艦隊を編成し、敵との戦闘で勝利を目指すという「育成シミュレーション」です。この中にもマニアックな場面でアハトアハトというワードが登場します。

伊8という潜水艦ですが、史実でもドイツに派遣され無事に帰還した艦で、そうした背景からゲーム中で「ドイツかぶれ」なキャラクターとなっています。そんな彼女は「アハトアハト」というセリフを使います。一説には伊8(アハト)が関係しているそうなのですが、どうなのでしょうか。

ワールドオブタンク(wot)とアハトアハト

戦車を駆って戦場を駆け巡る「ワールドオブタンク(WOT)」は大人気のオンラインバトルゲームです。戦車を操作するゲームなので固定砲としてのアハトアハトは登場しませんが、戦車のカスタマイズでアハトアハトを戦車砲としてセレクトできます。

ゲーム中も史実を彷彿とさせる威力となっていて、高い人気を誇っています。

「アハトアハト!そいつは素敵だ、大好きだ!」

2008年までヤングキングアワーズに連載されていた平野耕太氏による「HELLSING(ヘルシング)」は、吸血鬼と吸血鬼ハンターの戦いを描いた漫画作品です。

作中に南米へ逃れたナチスの残党「ミレニアム」という組織が登場し、ミレニアムを率いるリーダーとして「少佐」と呼ばれる元ナチス親衛隊少佐が出てくるのですが、最終局面においてアハトアハトで撃たれる場面があります。人ならば木端微塵ですが、彼はサイボーグなのです。

アハトアハトの砲身を向けられた少佐は「88mm(アハトアハト)!そいつは素敵だ!大好きだ!」と言って撃たれ半身が吹き飛びます。大戦中のドイツ軍兵士が頼もしく思っていた、アハトアハトへの思いが見てとれた漫画の一場面でした。

総括:アハトアハトはなにかと話題が多い

その優れた性能から敵に恐れられた8.8cmFlak36は、その独特の発射音からそれを聞いたドイツ将兵から「アハト!アハト!」と歓声が沸いたと伝わります。

その活躍と比例して逸話も多く、また現在に至るまでいろいろな分野へ影響を与え続けています。その理由についてこの解説で伝わったでしょうか。

これからもどこかで「アハトアハト」という言葉を目にしたときに思い出して頂けたら幸いです。

話題の多いアハトアハト

 

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