デアゴスティーニ商法は行動経済学に基づく効果的な手法

テレビCMでもお馴染みのデアゴスティーニ。

「創刊号は○○円」というキャッチコピーは誰もが聞いたことがあるはずだ。実際についつい買ってしまった経験がある人も少なくないだろう。

あんなに頻繁にCMを打つことができるということは、ビジネスモデルとして成功している証でもある。

儲かっているからこそ、同じような売り方で、どんどん新製品を発売しているわけだ。

実はあのような手法は「デアゴスティーニ商法」と呼ばれ、行動経済学的にも理にかなったやり方なのだ。

そこでここではデアゴスティーニ商法というものがどんなものなのか、どうしてこの手法が有効なのかについて、詳しく紹介していく。

デアゴスティーニ商法

記事の内容

  • デアゴスティーニ商法とは
  • デアゴスティーニ商法が効果的な理由
    希少性の原理=価値・価格の高騰
    保有効果=購買意欲を刺激
    現状維持バイアス=損失回避性
    サンクコスト効果=コスト回収心理
    値段の分割=手に取りやすい
  • デアゴスティーニが打ち切りになった場合はどうなる?
    打ち切りになったときの処分方法
    休刊になってしまったら
  • 総括

デアゴスティーニ商法とは?

デアゴスティーニ商法とは、イタリアのデアゴスティーニ社が始めた分冊販売のことである。

特徴としては次の通りだ。

  • 創刊号の値段が安い
  • 分冊で販売される
  • バックナンバーは廃刊される場合がある

このやり方がビジネス的にも非常に強力なため、他の業界でも同じような手法が用いられるようになった。

デアゴスティーニ商法が効果的な理由

デアゴスティーニ商法が効果的な理由はいくつかある。

どれも心理学的・経済学的な根拠に基づいており、知らず知らずのうちに消費者が製品を買ってしまうように仕組まれている。

こういった理屈を知っていると、無駄な出費を抑えることができるため、ぜひ覚えておいて欲しい。

いかにして私たちが普段から知らず知らずのうちに購買意欲を刺激されているのか、よく分かるはずだ。

デアゴスティーニ商法が効果的な理由

希少性の原理=価値・価格の高騰

デアゴスティーニの商品は、数十冊で完成するようになっており、1冊1冊が分冊で発売されている。

次から次へと新しい号が発売されるため、バックナンバーを入手するのが困難だという希少性が出てくる。

希少性の原理は、入手しづらいものに対して、通常よりも価値を感じるようになる現象を説明したものだ。

普段の買い物でも「期間限定」「数量限定」といったフレーズを目にすると、ついつい気になってしまうことがないだろうか。それほど欲しくない商品であっても「残り○個」といった記述を見ると、思わずチェックしてしまう。

こういった販売方法は、希少性の原理を上手く活用している。

すべての人に十分に行き渡るほど数量がない場合、つまり、需要に対して供給が少なくないと、価値や価格が高騰すると考えられている。

たとえば、クッキーの味に対するこんな実験がある。

被験者を2つのグループに分けて、一方には十分な数量のクッキーを、もう一方には人数よりも少ない数量のクッキーを与える。

そうすると、同じクッキーであるにも関わらず、少ない数量のクッキーを与えられたグループの方が好意的な感想を抱く人が多かった。

このように目の前にある数量の差が希少性を感じさせ、無意識のうちに価値を高めてしまうことがあるのだ。

もし、今回のデアゴスティーニを買い逃してしまうと、後から入手するのは難しくなってしまうかもしれない。もう2度と入手するのは不可能かもしれない。

そういった心理的な意識が働いてしまうため、ついつい継続して買ってしまうわけである。

参照:希少性の原理の学術記事

保有効果=購買意欲を刺激

人間は自分の持ち物がかわいいと感じる特性を持っている。

これを保有効果(授かり効果)という。

品質的には他のものと何ら変わりないはずなのに、自分の持ち物の方がなんとなく価値があるもののように感じてしまうのだ。

保有効果は日を追うごとにどんどん高まっていき、その結果、私物が捨てられなくなる原因になってしまう。

ボロボロになっているにも関わらず、何となく捨てることができないといった経験は誰にでもあるのではないだろうか。これこそが保有効果の影響なのである。

デアゴスティーニの場合も、初めは安いからという理由で買ったものの、持っているうちにどんどん自分の中での価値が高まっていく。そのため、2冊目以降も買い続けてしまうというわけだ。

時間が経てば経つほど、さらに価値を感じるようになり、また新しい号を買ってしまうようになる。

こういった保有効果を上手く活用することで、購買意欲を刺激しているのだ。

現状維持バイアス=損失回避性

人間には、大きな変化や未知なるものを避けて、現状を維持したいと思う心理作用がある。

これが現状維持バイアスだ。

バイアスというのは、「先入観」「偏向」「認識の歪み」といった意味で用いられる。つまり、良いか悪いかに関わらず、とにかく今の状態をキープしてしまうという性質を持っているのだ。

現状維持バイアスの背後には、損失回避性が働いていると言われている。

損失回避性とは、利益から得られる満足度より、損失から得られる苦痛の方が大きいと判断する心理作用のことだ。

つまり、新しく得られるものより、今あるものを失うことの方が怖いため、とにかく今の状態を続けようとしてしまうことになる。

デアゴスティーニの場合も、初めは気になって買っていたとしても、後は惰性で買い続けてしまう人も多い。たとえ、品質が落ちてしまっていても、買うという現状をそのまま維持してしまうのだ。

サンクコスト効果=コスト回収心理

サンクコストとは、回収ができなくなった投資費用のことだ。

ビジネスを始める場合、最初に投下した費用は回収する必要がある。同じように普段の生活においても、失ったコストを回収しようとする心理的な働きがある。

たとえば、人気の飲食店に並んでいたとする。

並んですぐの状態ならば「他の店に行こう」という選択は簡単に選べる。けれども、長時間並んでいると「こんなに並んだんだから、もう少し並ぼう」と他の店に行く選択が難しくなってしまう。

このように時間というコストをかけてしまうと、意思決定が難しくなってしまうのだ。

ギャンブルもまさにこの考え方で、たとえば5万円負け続けている場合、「もう少しで当たるのではないか」と1万円を追加してしまう。

この場合、5万円でダメだったものを1万円で成功する確率はかなり低い。それにも関わらず「これだけ使ったのだから何とかなるはず」と考えてしまい、どんどん損失が大きくなってしまうのだ。

上記の例から分かるように、人間は回収不能になってしまったコストを惜しむあまり、さらに損失を大きくしてしまう傾向がある。これをサンクコスト効果(コンコルド効果)と言う。

デアゴスティーニの場合も、途中で合わないと感じたならば、買うのを止めればいいだが、ここで止めると今までの分を損してしまうと考え、ずるずる買い続けてしまうわけだ。

サンクコスト効果

値段の分割=手に取りやすい

デアゴスティーニでは、分冊にすることで1冊あたりの値段が安くなっている。特に創刊号は通常の価格よりも安くして、手に取りやすくしている。

しかも、全部揃えることで、どのくらいの金額になるのかは分からない場合が多い。

たとえば、「このシリーズは全部揃えると15万円です」ということが分かっていれば、「高い」と感じて買わない人も多いのではないだろうか。

しかし、トータルでどのくらいの金額か分からず、1冊数百円や1,000円くらいならば高いとは感じずに買ってしまうのである。

さらに1度買い始めることで現状維持バイアスやサンクコスト効果といった心理作用が働くため、途中で止めることがどんどん難しくなってしまう。

このように、さまざまな心理作用を巧みに使いこなし、ビジネスを成功させているのだ。

 
 
 
 
 
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デアゴスティーニが打ち切りになった場合はどうなる?

デアゴスティーニを購入するときに気になるのが打ち切りだ。

せっかく継続して買っていたにも関わらず、途中で休刊や打ち切りになってしまったら、最後まで揃えることができない。

基本的にデアゴスティーニが途中で打ち切りになってしまうことはない。

ただし、ごく稀に打ち切りや休刊になってしまうことはある。

その場合、返金してもらうことができる。

ただし、どんなものでも返金してもらえるわけではない。返金してもらえるのは全巻揃ったときに初めて1つの商品が完成するタイプだ。1号ずつ完成するものは返金対象にはならない。

そのため、毎号パーツが入っていて完成するものは安心して買って問題ない。

だいたいのものは最後まで刊行されるし、万が一、休刊になった場合は返金してもらうことができる。

打ち切りになった場合

打ち切りになったデアゴスティーニの処分方法

では、もし自分が購入しているデアゴスティーニが休刊してしまった場合、どうすればいいだろうか。

もちろん、それが気になっているならば手放さずに持っておくのが1番だ。ただ、その場合でも、いつ手放しでもいいように冊子などは破ったりせず、きれいに保管しておくことをおすすめする。

途中までならば持っていても仕方ないと思う場合、買取業者に問い合わせるのが確実だ。

デアゴスティーニの買取を行っている業者は全国にたくさんいるため、査定依頼をすれば買い取ってもらえる場合が多い。

または、ヤフオクやメルカリなどの出品すると、ちょうどその号が欲しい人が見つかる場合もある。

なかなか入手ができないレアなシリーズだと、思わぬ高値で売れることもあるため、捨てる前にはぜひ検討してみて欲しい。

休刊になってしまったデアゴスティーニ

基本的には打ち切りや休刊にはならないデアゴスティーニだが、中には途中で終わってしまったものもある。

たとえば、以下のようなものは最後まで続かずに途中で終わってしまった。

  • 隔週刊「TAXI OF THE WORLD」
  • 週刊「紫電改をつくる」
  • 週刊「西洋時計をつくる」

「紫電改」には「ゼロ戦」、「西洋時計」には「和時計」と、すでに似たシリーズが発売されているため、打ち切りになってしまったのではと考えられる。

やはりオリジナリティが高いものほど注目されやすいし、欲しいと思う人も多いのだろう。

総括:デアゴスティーニ商法は秀逸

デアゴスティーニ商法とは、心理作用や行動経済学を上手く取り入れ、次々と出る新刊を買い続けさせるやり方である。

知らず知らずのうちに購買意欲を刺激され、大して欲しくもないにも関わらず、買ってしまうことがご理解いただけたと思う。

自分で選んだと思っていても、販売側に選ばされていることが数多くあるというわけだ。

デアゴスティーニはイタリアの出版社であるが、日本を初めとして世界約30カ国にも展開している大企業である。ここまで成功した裏には、さまざまな創意工夫があったことが分かる。

これから買おうとしているものが、本当に自分が欲しいものかどうか、よく見極めてから買い物をしたいものだ。

 

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