現代社会では、一昔に前に比べると、さまざまな性的指向が認められるようなってきている。LGBTという単語を見聞きしたことある人も多いのではないだろうか。
LBGTとは、さまざまな性的指向の頭文字を合わせた言葉である。
- L … Lesbian(レズビアン)女性の同性愛者
- G … Gay(ゲイ)男性の同性愛者
- B… Bisexual(バイセクシャル)両性愛者
- T … Transgender(トランスジェンダー)身体の性と心の性が一致していない人
また、恋愛スタイルも多種多様で、まだまだ一般的には普及していないような考え方もある。ポリアモリーもその1つかもしれない。ただ、「ポリアモリー」という言葉を聞いて、ピンとくる人はほとんどいないだろう。
そこで、ここではポリアモリーとはどういったものなのか、またさまざまな恋愛に対する考え方についても詳しく解説していく。
記事の内容
- 彼女が欲しい女性:ポリアモリーとは?
- 浮気との違い
- ポリアモリーの6つの倫理
- 複数人との関係=嫉妬しないの?
- 彼女が欲しいと思う女はおかしい?病気?
- よく勘違いされがちなこと
- 彼女が欲しい女性:モノガミーとポリガミー
- ポリガミーとポリアモリーの違い
- 彼女がいても他の女性が欲しいという考え
- 総括
執筆:GOKU
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彼女が欲しい女性:ポリアモリーとは?
ポリアモリーとは、同時に複数の人と恋愛関係を築くこと、またはそのようなライフスタイルのことを意味する。ポリアモリー(Polyamory)とは、1990年代のアメリカから広まった言葉で、ラテン語のPoly(複数)とAmore(愛)を組み合わせた造語である。
私たちはごく自然に「一対一の愛が正しい」と考えている。しかし、世の中には必ずしもそれが正しいわけではないと考えている人もいる。
浮気との違い
複数の人を好きになると聞くと「浮気ではないのか?」と考える人もいるかもしれない。ポリアモリーと浮気の大きな違いは、関係している全員が合意をしているという点である。
全員が複数人に対して恋愛関係を築くことを合意しているならば、それは浮気ではなく、ポリアモリーということになる。
もし、ひとりでも合意していない場合は、浮気ということになってしまう。ポリアモリーの人は、自分が持っている関係を明らかにしており、隠すことはない。
愛する人に嘘をつかず、または相手に対してもそうあって欲しいと考えるのが、ポリアモリーの考え方と言われている。
ポリアモリーの6つの倫理
恋愛に対してさまざまな考え方があるように、ポリアモリーにもさまざまな定義がある。
1つの指針となるのがワシントン大学のデボラ・アノポール氏が『ポリアモリー-恋愛革命』の中で紹介している“6つのポリアモリー倫理”だ。
- 意思決定は合意の上で
- 正直でいること
- 相手を思いやること
- 本気で関わること
- 誠実であること
- 個性を尊重すること
また、国内では深海菊江氏が『ポリアモリー 複数の愛を生きる』の中で、ポリアモリーには4つの側面があると述べている。
- 合意に基づくオープンな関係
- 身体的・感情的に深く関わり合う持続的な関係
- 所有しない愛
- 結婚制度に囚われない自らの意思と選択による愛
一般的に、複数の相手とつきあっていると聞くと、どうしても不誠実なイメージを持ってしまう。
しかし、ポリアモリーでは、自分のことを包み隠さずに素直に話すことこそが、誠実であると考える。そのため、相手が自分に対して複数人とつきあうことを嫌がった場合、しっかり話し合いをして、どうするべきかを考えるようにしている。「自分はそういう人だから」という態度は相手に対して誠実とは言えないだろう。
人によっては複数人に対して恋愛関係を築くと、その分だけ1人あたりの愛情が減ってしまうと考えるかもしれない。1人だけを愛するからこそ尊いのだと考える人も多いだろう。しかし、考えてみて欲しい。
子供が1人いる人と、2人いる人で、それぞれの子に対する愛情に差はあるだろうか。もちろん、そんなことはないだろう。どの子供に対しても惜しみない愛情を注いでいるはずである。
このように愛情は無限であるという考え方が、ポリアモリーの考え方の根底にあるのだ。
複数人との関係=嫉妬しないの?
複数人と関係を持つ上で、気になるのが嫉妬しないのかということだ。自分の彼女、または彼氏が他の人と関係を結んでいるのを見て、ポリアモリーの人は嫉妬することはないのだろうか。
ワシントン大学のアナポール氏が1000人以上のポリアモリーの人に「嫉妬をしたことがあるか」というアンケートを採ったとこころ、8割以上が「はい」と回答している。
つまり、複数人と交際関係を持っていることを認めていても、嫉妬という感情はあることになる。ただし、一般の人との違いが、この嫉妬の原因が「独占欲」ではなく、「不安」であるということだ。
通常、自分のパートナーに自分以外の好きな人ができた場合、関係の終わりを意味する。これはポリアモリーにとっても同じことで、たとえ複数の恋愛関係を持っていたとしても、パートナーが他の人を好きになって自分の元を去ってしまう可能性は十分にある。
そういった不安を感じることで、相手に嫉妬心を抱いてしまうのだ。
彼女が欲しいと思う女はおかしい?病気?
相手との合意があれば、いろいろな人と同時につきあえる。この部分だけを取ると、うらやましいと感じる人もいるかもしれない。
しかし、ポリアモリーであると、さまざまな批判や誤解を受けることも少なくない。その中でも多いのが「あなたは本当の愛を知らない」という決めつけだ。
真実の愛を知らないからこそ、1人だけを愛すことができないのだと決めつけを受けてしまう。
1人を愛することが本物の愛と考えている人は、複数人を愛することは偽物だと考える。自分が人を思う気持ちを「偽物」と断言されるのは、とても辛いことだろう。
また、何度もそんなことを言われては「自分の愛は偽物かもしれない……」と考えてもおかしくはない。一度そういったことを考えてしまうと、不安はずっとつきまとってしまう。
女性だけど彼女が欲しいと思うこと、男性だけど彼氏を欲しいと思うことを「おかしい」「病気だ」と考える人も少なくない。そういったことをたびたび言われては「私は病気なのかも」と考えてもおかしくはないだろう。
しかし、男女を問わず、複数の人と恋愛関係を築くポリアモリーも1つの考え方・ライフスタイルであるのは間違いない。一対一でお互いを愛することが絶対的に正しいということにはならない。
結婚している人が浮気や不倫をすれば、世間から白い目で見られたり、罰則を科せられることもあるが、これは誰かによって考えられた1つのルールでしかないのだ。
自分はポリアモリーを自覚しているし、出来ればそうありたいと願っているけど、過去2回そういう複数人と付き合って1ヶ月前後したらどうしても先に付き合ってた方と別れる結果になってるから新しい恋愛が怖くて、それでも素敵だなと思った人に好意を抱いてしまう自分がしんどいところもある。
— masato (@danshimodoki) July 29, 2021
よく勘違いされがちなこと
ポリアモリーの人は複数のパートナーを持っているため、性行為が好きと誤解されることがある。また、複数人でそういった行為をすることが好きだと勘違いされることもあるようだ。
しかし、ポリアモリーはフリーセックスやスワッピングといった考え方とはまったく異なる。複数人のパートナーがいるからといって、誰とでも関係を持つという意味にはならない。
相手がポリアモリーだということを知って、そういったイメージを持つことは失礼にあたるので注意したい。
彼女が欲しい女性:モノガミーとポリガミー
日本では結婚は一対一でするものと決められている。このように異性同士が一対一で結婚するという考え方を、モノガミーと呼ぶ。私たちは一夫一妻をごく当たり前に考えているが、世の中にはそうでない国もある。
また、日本では同性婚が法律で認められていないが、オランダやオーストラリアなど同性婚が法的に認められている国もある。彼女を欲しいと思う女性や彼氏を欲しいと思う男性もごくあたり前に存在しているのだ。つまり、私たちが常識だと考えていることは、世界的に見ると常識ではないことはよくあるのだ。
複婚や多重婚はポリガミーと呼ばれている。
ポリガミーでは一対一ではなく、複数の人と婚姻関係を持つことになる。複数人と結婚ができるため、日本のようにパートナーを1人に絞る必要はない。
これはどちらが良くて、どちらが悪いという問題ではない。モノガミーが良くて、ポリガミーが悪いという結論にはならないだろう。世界にはさまざまな考え方があって当然なのだ。
そう考えるとポリアモリーだけが特別というわけではないことがよく分かるだろう。
ポリガミーとポリアモリーの違い
複数の人と関係を持つという点で、ポリアモリーもポリガミーも同じではないかと思う人もいるかもしれない。
実際のところ、ポリガミーとポリアモリーにも違いがある。そもそも「ガミー」というのは結婚制度を意味しているため、そういった制度ではないポリアモリーとは大きく異なっている。
また、ポリアモリーでは性の平等も大切に考えられている。ポリガミーでは、一夫多妻、一妻多夫のように、どちらかの性が複数のパートナーを持つことを認められているが、その逆はない。
ポリアモリーでは性は平等であるため、男性が複数の女性のパートナーを持っても良いし、女性が複数の男性のパートナーを持っても構わない。
あくまで男女が対等な立場であり、お互いによく話合うことで良い関係を築いていくという考えが根底にあるのだ。そのため、女性が彼女を欲しいと思うことや男性が彼氏を欲しいと思うことは、別に特別なおかしなことではない。
彼女がいても他の女性が欲しいという考え
一夫一妻であるモノガミーという考え方に、異論を唱えるノンモノガミーという考え方がある。日本語では非一夫一妻制と訳される。
ノンモノガミーでは、特定のパートナーがいたとしても、複数の人と関係を持つことは自然であると考える。
つまり、彼女がいたとしても他の女性を欲しいと思うことはおかしくないというわけだ。
こういった主張は男女問わずに行われており、アメリカではノンモノガミー同士が出会うためのマッチングサイトが存在している。
日本国内でもノンモノガミーを主張しているコミュニティはあるが、まだまだ数は少ない。やはり昔から一夫一妻制を続けてきたため、それこそが絶対的に正しいと考えている人が多いようだ。
一昔前までは、女性がすべての家事をして、育児を担当するのは当たり前のことだった。近年になって、ようやくそういった考えは改められて、家事や育児を担当する男性も増えてきている。中には主婦ならぬ、主夫になる男性も現れてきた。
そう考えるとモノガミーもまた、ノンモノガミーへと変容していく可能性も十分にあるだろう。
ポリアモリーを「新しい愛の形」とか言われると違和感しかなかったんだけど、親が決めた結婚とか家同士のお見合いとかが当たり前だった時代に「恋愛結婚」が新しかったのと同じくらいには新しいのかもしれない。つまり、結婚すれば配偶者の所有物として扱われるのが当たり前な時代から、次の時代へ。
— 文月 煉 bot (@fudukirenbot) August 2, 2021
個人的にはあと数百年ぐらいしたらポリアモリー的な関係も市民権を得てそうとは思ってるんですよね。現在セクマイが社会に認めさせようと努力している愛の多様性の延長上にあるので。異性間の関係が至高とは限らないように、1対1の関係もまた至高とは限らない
— 平田凡斎 (@HBonsai) July 27, 2021
総括:彼女が欲しい女性について
ポリアモリーというライフスタイル
- ポリアモリーと浮気はまったく違う
- ポリアモリーの詳しい定義
- ポリアモリーはパートナーに嫉妬するのか
- ポリアモリーでいることの大変さ
モノガミーとポリガミーの相違点
- ポリアモリーとポリガミーの違い
- ノンモノガミーという新しい選択肢
恋愛は一対一でするもの。そう考えている人は多いだろう。複数人に対する愛は、まやかしにすぎないと考える人もいるかもしれない。しかし、世の中にはさまざまな考え方があり、必ずしも自分の考えが絶対的ではないことを覚えておこう。
また、今は当たり前だと思っていることでも、時間が経つと非常識になってしまうことはめずらしくない。さまざまな考え方を許容し、自分の考えに固執しないことが大切なのだ。