懐古厨(かいこちゅう)とは、ネットで使われるスラング(俗語)で、「昔のことを褒め称えて、新しいものには否定的な人」という意味合いの言葉だ。
「○○厨」という言葉は、ネットスラングとしてよく使われることが多い。懐古厨以外にも「認定厨」「転売厨」「転載厨」といったスラングがある。こうしたスラングは、普段から触れていないと、意味が分からないものも多い。
懐古厨という言葉も見たことはあるものの、詳しくは分からない人も多いかもしれない。そこで、ここでは懐古中の詳しい意味や由来、似た意味の言葉などについて詳しく解説していく。
また、懐古厨が多くいるコンテンツについてもいくつか紹介する。
記事の内容
- 懐古厨の意味・使い方
- 懐古厨の由来
昔を懐かしむという意味を持つ言葉 - 懐古厨の何が悪い?
昔のことを美化して、新しいものを悪く言う - 昔に対する思い出補正
過去の経験を美化すること
悪いところ、嫌なところを忘れてしまうこと - 懐古厨になってしまう心理
- 「うざい・嫌い」と思う人は新規厨に
- 懐古厨に似た意味の言葉
- 注意すべきこと
- 懐古厨がよくいるジャンルは?
ポケモン
ドラゴンボール
仮面ライダー - 誰でも懐古厨になる可能性はある
- 総括
懐古厨の意味・使い方
懐古厨とは、昔の方がよかったと過去のことばかり褒め、新しいものに対して否定的な見方をする人のことだ。
懐古厨という言葉は、2000年代初めに2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)の中で使われるようになり、そこからネットスラングとして多くの人に使われるようになった。
「昔の方がよかった。今はダメ」と嘆く人をからかう意味合いで使い、マイナスなイメージで使うことが多い。
懐古厨の由来
「懐古」は、昔を懐かしむという意味を持つ言葉だ。
この言葉自体にマイナスな意味合いはない。そのため、「懐古厨」を「懐古」と省略してしまうと意味が変わってしまう。
それに対して「厨」というのは、もともとは「厨房」で「中坊」、つまり中学生のことを指す。中学生のように幼稚で自意識過剰、周りに迷惑をかけやすいと相手を嘲笑する意味合いで使う言葉だ。
また、「厨」は「中毒」の「中」に由来している説もある。
物事への依存が高い状態が中毒のため、この場合は過去や古いものに依存しすぎている状態を意味している。
この2つが組み合わさり、懐古厨という言葉が生まれた。
懐古厨の何が悪い?
昔を懐かしむことは決して悪いことではない。問題なのは新しいものを批判する態度にある。
昔のことを美化して、新しいものを悪く言うのは、ある意味、自分が時代についていけていないだけとも言える。
自分が時代遅れという意識なしで、新しいものを批判しては、ただただ周りから煙たがられるだけだろう。
古いものにも新しいものにも、それぞれ良いところと悪いところがある。悪いところばかり見て、良いところを見ない態度は問題なのだ。
昔に対する思い出補正
世の中の物事は、進化していくものと退化していくものがある。
多くの場合、過去にあったことを下敷きにして、新しい要素や技術を加えて進化していく。
しかし、それにも限界があるため、一定のレベルまで達すると、過去の真似事や二番煎じになってしまうこともよくある。既視感があるものには新鮮みがないため、「最近のものはパクリばかり」という印象を持ってしまう。
そうなるとなおさら「昔の方がよかった」と感じてしまうのだ。
人間の感受性は思春期が一番豊かだと言われている。
そのため、その頃に出会った漫画やゲーム、音楽、映画はその人に対してとても大きな影響を与えている。そこで味わった感動や衝撃は一生忘れることができないものとなり、その人にとって特別な存在となる。
その印象が強ければ強いほど、新しいものにはさほど感動しなくなってしまう。
これがいわゆる「思い出補正」という現象だ。
思い出補正とは「過去の経験を美化すること。悪いところ、嫌なところを忘れてしまうこと」だ。(参照:weblio)
良いところばかりを記憶して、悪いところを忘れてしまっているから、今のものよりも昔のものの方が良いと感じてしまうのだ。
懐古厨になってしまう心理
懐古厨になってしまう理由として考えられるのが、興味の問題だ。
人間はよく分からないことには興味を持ちづらい。大人になって、仕事や家庭が忙しくなってくると、新しいことに興味を持つ余裕がなくなってくる。そうすると、どんどん知らないことが増えていき、その魅力に気づく機会も失われてしまう。
新しいものはよく分からないものばかりのため、より一層、昔のことに意識が向いてしまう。
自分が若い頃に出会ったものはよく知っているし、面白いことも十分分かっている。
そのため、よく分からないものより、よく知っている昔のものの方が魅力的に見えてしまうわけだ。
ニコニコ全盛期に帰りたい懐古厨です
— オレ、参上! (@Iamoresan13) October 15, 2021
ドラクエにボイスはいらないって発想は害悪懐古厨なんだろうな…生きててごめんなさい…
— つんでつんで (@vegeeeeee428) October 14, 2021
年齢的にはまだ現代の子だけどインターネット老人………
思考は懐古厨なので気をつけて— しふあ@プロカ必読 (@Shifua_) October 14, 2021
「うざい・嫌い」と思う人は新規厨に
昔のものばかりを褒め称える人たちに対して、過去を一切否定して新しいものばかりを褒め称える人たちを新規厨(しんきちゅう)と呼ぶ。新規厨は、懐古厨の対義語として使われることが多い。
しかし、新規厨もまた「新しいものを全肯定」「古いものを全否定」という態度のため、単に懐古厨を逆にしただけの存在として敬遠されてしまう。対象が古いものから新しいものに移っただけで、行動原理が同じだからだ。
また、自分が古いものを知らないことにコンプレックスを感じ、頭ごなしに懐古厨を批判する人を「懐古コンプ」と呼ぶこともある。
古いものにも新しいものにも、それぞれ良いところがあるし、悪いところもある。その両方に目を向けることが懐古厨にとっても新規厨にとっても大切なことだろう。
懐古厨に似た意味の言葉
懐古厨にはいくつか似た意味の言葉がある。
- 最近厨
- 古参ファン
「最近厨」は、とにかく最近のものを否定する人のことだ。
懐古厨が昔のものを褒めつつ今のものを批判するの対して、最近厨はただただ「今は良くない」と考える傾向にある。ただ批判するだけのスタンスなので、周りからは好ましく思われない。
「古参ファン」は、昔からそのコンテンツを知っている人のことだ。
懐古厨と同じように、昔のものを愛する人たちのことだが、こちらの呼び方には馬鹿にしたような意味合いはない。
ただし、古参ファンでなおかつ懐古厨という人もいる。
注意すべきこと
懐古厨と言われないようにするためには、以下の点に気をつけよう。
- 新しいものを馬鹿にしない
- 新しいものをよく知ろうとする
昔を懐かしむこと自体は悪いことではない。また、心の中で「昔の方がよかった」と思うことも問題にはならない。それはあくまで個人の自由だ。
問題なのは新しいものを激しく批判したり、見下したりすることだ。
誰だって自分が好きなものを悪く言われたらいい気はしない。そういった言動をきっかけに対立したり、ケンカになってしまうこともよくある。
制作側から見ても、昔からのファンばかりを大事にしていると、どんどんそのコンテンツが廃れてしまう恐れがある。
懐古厨の意見にばかり耳を傾けていると、新規ファンが集まらなくなり、結局そのコンテンツ自体が終わってしまうのだ。
そのため、新しいものへの批判や憎しみといった言動は避けた方が良いのは間違いない。積極的に新しいコンテンツを知る努力をすれば、必ずいいところが見つかってくるはずだ。
また、懐古厨という言葉は決して良い意味ではないため、軽々しく相手に使うのは避けよう。
昔のものが好きなことは悪いことではないため、ただ懐かしんでいる人に対して「懐古厨だ!」というのは失礼だし、相手を傷つけてしまう恐れがある。
昔のものが好きだという相手の気持ちも尊重することが大切だ。
時間が経つと、いつの間にか自分が懐古厨になってしまうことも多いため、普段から上記の注意点を頭に入れておこう。
懐古厨がよくいるジャンルは?
懐古厨は、エンタメの分野でよく見かけられる。
昔からずっとファンがたくさんいるゲーム、アニメ、マンガ、ドラマ、アイドルといった分野にいることが多い。
特に長期にわたって流行っているジャンルは懐古厨が出やすい。
ポケモン
ポケモン(ポケットモンスター)は、1996年にゲームボーイで発売されたゲームソフトだ。
その後、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchと、さまざまなハードでシリーズ作品が出続けており、今なお高い人気を誇っている。
そのため、昔から遊び続けているユーザーが非常に多く、新作に対して否定的な意見を述べる人も多い。
- ポケモンは金が1番。最近のは良くない
- 今のポケモンはデザインが終わっている
- ポケモンはドットやめて終わった
- 初代以外はゴミ
このような過去の作品を馬鹿にするような発言がよく見られる。
ドラゴンボール
ドラゴンボールは1984年から1995年まで週刊少年ジャンプで連載されていたバトルマンガだ。作者は鳥山明で、ゲームの「ドラゴンクエスト」などのイラストでも有名である。
さまざまな言語に翻訳され、世界中で販売されており、単行本の発行部数は全世界で2億6,000万部を誇る超ヒット作品だ。
アニメ化、映画化、ゲーム化されており、どれも大ヒットしているため、子供から大人まで幅広い支持を得ている国民的マンガである。
ドラゴンボールには、ドラゴンボール超という派生作品がある。
こちらはオリジナルのドラゴンボールのその後の話が描かれており、昔から知っている人たちからは違和感を覚える声が多い。
- ドラゴンボール超つまらない
- ドラゴンボールZが最高
- この設定はおかしい!
このような感じで、懐古厨によってドラゴンボール超が叩かれていることが多い。
仮面ライダー
仮面ライダーは1971年から1973年まで放送されていた特撮テレビドラマ作品だ。原作は石森章太郎で、今でもシリーズが続いている。
こちらも古くからある作品のため、懐古厨が多いコンテンツだ。
- 仮面ライダーは昭和から平成初期あたりがピーク
- 最近の仮面ライダーはストーリーが子供っぽい
- 昭和ライダーの方がデザインがよかった
このように昔からあるライダーは褒められることが多く、新しいライダーは批判されることが多い。中には新しいライダーを仮面ライダーとして認めない人たちもいる。
総括:誰でも懐古厨になる可能性はある
最後に今回の記事についてまとめる。
懐古厨とは「昔のものを褒めて新しいものを批判する人」のこと
- もともとは2ちゃんねるで始まったネットスラング
- 由来は「懐古」+「厨房」
- 新しいものを批判する態度が問題になる
- 思い出補正がかかっている可能性がある
- 新しいものに興味を持てないと懐古厨になりやすい
懐古厨に反する人たち
- 過去を全否定する「新規厨」
- 頭ごなしに懐古厨を批判する「懐古コンプ」
懐古厨の類義語
- 最近のものを批判する「最近厨」
- 昔から知っている「古参ファン」
懐古厨にならないために気をつけたいこと
- 新しいコンテンツを馬鹿にしない
- 新しいものに対して興味を持つ
懐古厨が多いコンテンツ
- ポケモン
- ドラゴンボール
- 仮面ライダー
懐古厨とは、昔のものばかりを褒めて、新しいものを認めない人たちのことである。昔からあるものを褒めるのは悪いことではないが、新しいコンテンツを頭ごなし否定するのは、決して良いことではない。
昔のことにこだわりすぎると、誰でも懐古厨になってしまう恐れがある。そうならないためにも、新しいもの対しても興味を持ち、良いところと悪いところの両面を見ることができるように心がけよう。
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