今回は、NordVPNに危険性はなく国家機密保護レベルの通信セキュリティであることを解説します。
今やインターネットの利用は日常の一部となり、その利便性にしか目を向けていません。確かにほとんどの人にとっては「便利なもの」としか考えられませんが、私たちのインターネット利用が多くの監視に晒されていることをご存知でしょうか。
実害がなければ良いものの、自分の志向や性向が誰かに見られているのは良い気分のするものではありません。
そんな不安を解消する手立てがVPN(Virtual private network:仮想専用線)といわれる技術で、中でも評価の高いサービスが「NordVPN」です。
ここで、NordVPNがどのようなサービスで、その基本的な内容や利用する上での注意点、危険性になどについて言及します。
記事の内容
- NordVPNの危険性とは:基礎知識から
- NordVPNとはどのようなサービス?
- セキュリティと安全性は抜群
- 匿名性も非常に高い
- 日本にもサーバーがあるがログは残るのか?
- 同時接続は6台のデバイスまで
- 警察にもバレない?CIAでさえも・
- 検閲が厳しい中国ではどうなのか
- NordVPNに危険性はないが些細な悩みアリ
- 起動しない、サーバーに繋がらないときの対処法
- 遅い!という噂と解決策
- Amazonプライムが見れない事象
- PayPalが使えないケース
- NordVPNに危険性はなく非常に安全
- 総括
NordVPNの危険性とは:基礎知識から
NordVPNは個人向けVPNサービスを提供するプロバイダで、世界的にも非常に評価が高く、日本でもVPNを検討する際にまっ先に名前があがります。
しかし詳しくない方であれば数多くあるVPNサービスのなかで「NordVPNで本当に大丈夫なのか?」と思ったとしても無理はありません。
まずはNordVPNがどのようなプロバイダで、提供するVPNサービスの実力がどの程度のものなのかを中心に説明していきます。
NordVPNとはどのようなサービス?
NordVPNは2012年に設立されたVPNサービスプロバイダで、現在では1400万人を超えるユーザーにサービスを提供しています。
「真に開かれたインターネットの実現」を使命にすると標榜し、世界60か国に5400以上のサーバーが置かれ、日本にも約140のサーバーがあります。
本拠はパナマ共和国に置かれているのですが、実は創設者や管理者は匿名で未だに明かされていません。
誰にも通信内容を覗かれることなく、匿名性やセキュリティが優れていると言われるNordVPNですが、その運営自体が匿名だという不思議な現状です。
セキュリティと安全性は抜群
VPNのセキュリティにおけるポイントは、用いる暗号化アルゴリズムです。アメリカが2001年に標準暗号として定めた共通鍵暗号アルゴリズムがAES(Advanced Encryption Standard)というもので、米国家安全保障局(NSA)により、トップシークレットを含む機密情報の保護に推奨されています。
NordVPNは256ビットの暗号化を行うAESを使用していて、理論上その解読にはスーパーコンピューターを用いても10億年以上かかるといわれています。これは国家機密や軍事情報の通信に用いられるレベルのセキュリティです。
匿名性も非常に高い
NordVPNの匿名性の高さは主に2つの事実から成り立っています。先ほどNordVPNの本拠地がパナマ共和国であることを書きましたが、実はこの点が重要な要素です。
主に欧米では国家間で通信データを共有するUKUSA協定(5アイズからスタートしその後拡大)があり、その加盟国に本社を置いているVPNサービスは、政府の求めに応じて利用者の機密情報を共有しなければなりません。
しかしパナマ共和国はこれらの協定に加盟していないことから、通信データの収集や他国との共有義務がありません。
またNordVPNは、そもそも利用者の閲覧履歴やIPアドレス、ダウンロードファイルなどの記録を保存しないという「ノーログポリシー(ログを残さない)」を謳い、それを遵守しているので、たとえ強制的にサーバーを持ち去られても記録が漏洩することはありません。
他のVPNサービスでも同じようなことを謳っているとこがありますが、実際にログを消しているかは分かりません。しかしNordVPNはある事情(データマイニング、すなわちNordVPN自身が情報収集しているのではという疑惑を晴らすため)によって世界4大会計事務所の一つである「PwC(PricewaterhouseCoopers)」による監査を受け、ログの消去が本当であると証明されました。
日本にもサーバーがあるがログは残るのか?
NordVPNは日本にも約140のサーバーを設置しており、日本のユーザーのほとんどはそれらのサーバーを通してVPNサービスを利用していると推定されます。
これら日本に置かれたサーバーのログも、NordVPNのVPNサービスならば残ることがありません。
同時接続は6台のデバイスまで
NordVPNのVPNサービスは同時に6台のデバイスが同時接続できます。接続できるデバイスはパソコンだけに限らず、テレビ・スマホ・タブレット・テレビなども可能です。
しかも重要な点はルーターに設定するとそれが1台の機器という扱いになるので、ルーター経由で接続するスマホやタブレットなどはカウントされずに保護されます。
警察にもバレない?CIAでさえも・
VPNサービスの本来の目的はプライバシーが保護された、安全なインターネット環境を実現するものですが、裏を返せば「誹謗中傷する書込み」や「犯罪に関する通信」などの悪い情報も保護してしまうことになります。
過去にこのような人物が特定されたことはありますが、それは同じアカウントで過去にVPN経由ではない書込みがあったケースや、書き込んだカフェなどまで特定されたうえ防犯カメラの映像で分かるなど、VPNサービスからみると脇の甘いケースです。
実際のところノーログのVPNに加え、Tor(The Onion Router:TCP/IPにおける接続経路の匿名化を実現するための規格)まで駆使されると、警察はおろかCIAでも特定は困難になり、弁護士レベルでは言うに及ばずでしょう。
ただ改めて言いますが、NordVPNのVPNサービスは、悪意のある行為を保護するためのサービスではありませんので、インターネットの利用には節度が求められます。
検閲が厳しい中国ではどうなのか
多くのメディアで報道されているとおり、中華人民共和国では行政行為として検閲がなされています。その目的は政権への批判を抑え共産党による一党独裁体制の維持だと言われています。
インターネットの検閲には「グレートファイアウォール(一部では”金盾”ともいわれる)」という大規模検閲システムと、多くの人員を割いて監視しています。
中国の国民は監視下に置かれているとして、もし我々のような外国人が中国に入国した場合、同じように検閲され自由にインターネットを見られないのでしょうか。
実は今のところNordVPNを中国へ入国前にデバイスへインストールしておくことで、金盾を欺くことが出来ています。
というのもグレートファイアウォールによるネット遮断には限界があり、VPN経由のアクセスは全て遮断するのが困難な現実があります。NordVPNは中国国内にサーバーを置かないことで、逆に検閲から逃れるようにしています。
簡単(ではありませんが)に言うと、データをスクランブルすることでパケットヘッダーからメタデータを隠すこともでき、意味のない情報で満たされた通常のHTTPSトラフィックのように見せかけることが可能となります。ファイアウォールにはVPNであることが認識できず、通過させることになります。
中国の規制と、それから逃れるVPNのせめぎあいは今でも続いており、今後もNordVPNを利用することで確実にインターネットにアクセスできるという保証はありません。
NordVPNに危険性はないが些細な悩みアリ
NordVPNの強力なセキュリティと、匿名性については理解できましたが、実際の利用についてユーザーからいくつかの困った悩みが寄せられているようです。
それらを見ていくと多くは設定の問題であったり、NordVPNの仕様の問題であったりと、決定的なものではないようですが、サービスの利用を考えている方のために代表的なものをいくつか紹介します。
起動しない、サーバーに繋がらないときの対処法
これはNordVPNだけに限らない事例ですが、起動できない(ログインできない)ことがあります。この場合最初に確かめるのはインターネットが正常に動作していることで、ルーターの電源を入れなおすことで正常に戻るケースが多く見られます。
それ以外の対処についてNordVPNは公開していますが、それらを試してダメだった場合の最終手段は、再起動してみるかNordVPNの再インストールとなります。
ただそれでも接続できない場合は、「IPv6を無効にしてみる」「リソースが競合するサードパーティーアプリを無効にする」「NordVPNの接続サーバーを変更してみる」「ネットワークアダプターの再起動」などを試してみましょう。
なおNordVPNはサポートが充実しているので、深みにはまる前に相談するのが一番の対処法です。
遅い!という噂と解決策
まずは覚えておきたいことは、なにもせずにインターネットを使う環境と比較すると、VPNサービスを使った接続は速度が落ちるのは当たり前のことだということです。
ただそれが体感的に明らかな場合、何かしらの原因は考えられます。
NordVPNはVPNサービスのなかで速いといわれていますが、VPNサービスのなかで最速ではありません。しかし多くのユーザーから速度に関する不満が聞かれることは少ないサービスです。
VPN全般にいえますが、速度は「接続するサーバーへの物理的距離」と「サーバーに接続しているユーザー数」の影響を大きく受けます。NordVPNは60か国に5400以上のサーバーがあるので、接続先を複数試してみることをオススメします。
また当たり前ですが、そもそもの回線速度が出ないケースも良く見られることで、ルーターに多くのデバイスが接続されているような場合、とうぜん速度低下をおこすので、使用状況についても再確認しましょう。
Amazonプライムが見れない事象
NordVPNのVPNサービスを利用することで、海外に行っても日本のAmazonプライムを見ることができるのですが、一部のユーザーから「見られない」という事象があげられています。
これには大きな理由があり、その原因はAmazon公式サイトを見ると分かります。
Amazonプライム会員は、お住まいの国以外の国でも、一部のAmazon Originalタイトルをストリーミング再生できます。お住まいの国以外では、ストリーミング再生できるPrime Videoタイトルの数は限られます。視聴可能なタイトルは、「海外視聴可能TV番組」と表示されます。
Amazonプライム会員規約より引用
これを回避するためには、海外から日本のNordVPNへ接続することで、日本のAmazonプライムを視聴することができます。これは他国で提供されているAmazonプライムでも同様で、その国に設置されたサーバーを経由しなと、Amazon Originalタイトル以外は制限されるのです。
PayPalが使えないケース
日本におけるNordVPNの支払方法は「クレジットカード」「Google Pay」「PayPal」「UnionPay」「AmazonPay」「仮想通貨」の6種類となっています。
ところが一部で「PayPalが使えない」とう情報が散見されます。たしかに以前までPayPal決済ができない時期がありましたが、現在では対応しています。
NordVPN支払だけの問題ではなく、むしろPayPalの設定ミスや不具合によるケースが多いようです。
メアドの確認や登録したクレジットカードの確認など単純ミスや、PayPalのアカウントに制限がかかっているなどのパターンがあるので、PayPal側で確認してみましょう。
総括:NordVPNに危険性はなく非常に安全
記事のポイントをまとめます。
NordVPNの危険性について
NordVPNは危険性のない国家機密保護レベルの通信セキュリティを提供
インターネット利用が監視される現状に対処するためにVPN技術が役立つ
NordVPNは高い評価を受けるVPNサービスであり、世界中で1400万人以上のユーザーが利用
NordVPNのセキュリティは256ビットAES暗号化を使用し、解読には10億年以上がかかるとされる
匿名性が高く、パナマ共和国に本拠地があり、UKUSA協定に加盟していないため通信データの共有義務がない
ノーログポリシーを遵守し、PwCによる監査で証明された信頼性がある
日本にも約140のサーバーが設置され、日本のユーザーもログが残らない
同時に6台のデバイスが接続でき、ルーターに設定すればさらに多くの機器が保護される
NordVPNとTorを併用することで、警察やCIAでも特定が困難になる
しかし、NordVPNは悪意のある行為を保護する目的ではなく、インターネット利用には節度が求められる
中国では政府による検閲が厳しく行われている
インターネット検閲には「グレートファイアウォール」というシステムが使われている
NordVPNは中国への入国前にインストールすることで検閲を回避できる
NordVPNは中国国内にサーバーを置かず、逆に検閲から逃れる方法を採用している
NordVPNの利用にはいくつかの問題点が存在するが、決定的なものではない
NordVPNの起動しない・サーバーに繋がらない問題は、公開されている対処法や再インストールを試すことで解決できる
NordVPNの速度に関する問題は、接続先のサーバーを変更することで改善されることが多い
Amazonプライムが見れない事象は、VPNの接続先サーバーを変更することで解決できる
PayPalが使えないケースは、PayPal側の設定やアカウント確認を行うことで対処可能
NordVPNについて解説してきましたが、セキュリティ・匿名性・通信速度・料金とトータルのバランスで考えると、現在最強レベルのVPNサービスです。
もちろん回線速度だけならNordVPNより速いVPNはあり、安さだけでも同様です。
しかしVPNサービスの中で唯一「ログ消去」の証明がある安心感と信頼性は、VPN選びのときの有力なアドバンテージになるのです。