「ペリカ」と言われて、何を思い浮かべるだろうか?
筆者は「キンキンに冷えてやがるっ・・・!」を想像してしまう。
このペリカの使い方はめちゃくちゃ正しいと思う。
こんなに乾いた心が癒されるのだから…。
さて、今回はこの「ペリカ」とは何なのか?
登場するマンガやペリカの価値、モデルになったものなどを順番に解説していこう。
記事の内容
- ペリカとは
- ペリカが登場する賭博黙示録カイジ
- ペリカが登場するのはいつか
- ペリカは通貨として使われる?単位は?
- ペリカの価値・日本円でいくらか
- ペリカの由来や意味
- ペリカで買うことができるもの
- ペリカと似たような通貨は現実に存在するか
- 総括
ペリカとは?画像とともに解説
「ペリカ」とは、藤原竜也主演で実写映画化もされた「賭博黙示録カイジ」というマンガに登場する架空の紙幣である。
主人公カイジがペリカを発行する帝愛グループが持つ、地下強制労働施設にて給料として受け取っていた。
地下強制労働施設では最低限の衣食住は保証されているが、着る物は指定され、食事はご飯・味噌汁が1杯ずつにメザシ3本。
休む場所は他の労働者と共同でプライバシーがない。
この味気のない生活に色を添えるのがペリカである。
嗜好品を購入するのも良し、ギャンブルに興じるもよし。
ガス抜きに使われる「ペリカ」の制度は本当にすごい。
ペリカが登場するギャンブルマンガ=賭博黙示録カイジ
「賭博黙示録カイジ」とは「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」などのヒット作を持つマンガ家福本伸行の作品である。
福本伸行はギャンブルマンガの第一人者と知られ、ち密な心理描写や強烈な人物描写が特徴である。
特徴的なあごの尖り具合は全作品に共通している。
その中でも「賭博黙示録カイジ」は1998年に講談社漫画賞を受賞したり、アニメや実写映画化などメディアミックスもされている大ヒットマンガだ。
続編として、「賭博破戒録カイジ」「賭博堕天録カイジ」「賭博堕天録カイジ 和也編」「賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編」が連載され、2017年からは「博堕天録カイジ 24億脱出編」を連載中だ。
カイジの内容
まともに働かず、自堕落な日々を過ごしていた主人公・伊藤開司(通称カイジ)が、友人の連帯保証人となって多額の負債を抱えたことをきっかけに、様々なギャンブルに挑んでいく青年漫画。
命を賭けた極限の勝負の中での人間の思考、生き様が描かれており、作品独自のギャンブルと、「ざわ‥ざわ‥」の擬音や「黒服」などのモブキャラが登場するのも特徴である。
カイジの中で行われているギャンブルは数々あるが、多くが読者も考えされる内容である。
- カード12枚を使った限定ジャンケン
- 鉄骨渡り
- Eカード
- ティッシュ箱くじ引き
- 地下チンチロリン
- パチンコ「沼」
- 変則麻雀「17歩」
- 友情確認ゲーム「救出」
- ワン・ポーカー
このように、多くのオリジナルギャンブルが作中で使われていることが分かる。
カイジでペリカが登場するのはいつか
カイジが帝愛グループの兵頭会長とティッシュ箱くじ引きでの勝負を挑むが無残な敗北を喫し、それまでに獲得していた2000万円と指4本を失ってしまう。
手術代と金利を含めて借金が1000万円近くに膨れ上がった。
帝愛グループの掟により、ギャンブル斡旋は2度までと決まっていた為に地下強制労働施設に落とされて地道に返済することを強要された。
その地下強制労働施設で給金として発行されているのが「ペリカ」だ。
1カ月働いて、カイジが手にしたのは91,000ペリカ。
この金額の価値については後述する。
ペリカ登場部分はカイジの映画でも取り上げられている。
カイジの映画は2020年についに完結した。
主演 藤原竜也の演技が見どころなのでこちらもチェックしてほしい。
ペリカは通貨として使われる?単位は?
「ペリカ」は私製紙幣であり、地下強制労働施設内でのみ通貨として使用できる。
種類は全部で3種類で100ペリカ札、1,000ペリカ札、10,000ペリカ札がある。
通貨を発行する帝愛グループの兵頭会長の顔が書かれている。
3種類の兵頭会長の顔の向きが少しずつ異なった印刷になっている。
地下強制労働施設での給料については後程触れるが、労働者100人以上に渡るように刷っていくため紙幣が多くなりすぎて価値が下がってしまうインフレの恐れがある。
帝愛側としては、毎月支払ったペリカを消費してもらうために賭場を認めたり、嗜好品や特典を販売してインフレを防いでいるようだ。
ペリカの価値・日本円でいくらか
ペリカの価値は日本円の10分1の価値だ。
地下強制労働施設では月に91,000ペリカの給料が支払われるが、日本円にする9,100円ぽっちで1万円にも満たない。
日当が日本円で1日3,500円でそのうち2,000円が借金返済。
1,150円が食費・施設費等。
残りの350×26日(週休1日)で9,100円となっている。
これは完全に労働基準法無視ではある。
しかし、借金の利息は免除されるため毎月元本が52,000円ずつ減っていくようだ。
借金を返すために利息を払い続けるようなことも現実にはあるが、これは良心的ではないかとも思ってしまう。
帝愛グループの管理下には置かれるが、東京湾に沈められることもない。
生きていられることは希望なのだ。
日本円換算では非常に少ないペリカでの給料も、どん底の人間には悪くないのかもしれない。
流通量は2000万ペリカ
カイジのマンガやアニメを見ていると、少なくても100人以上の債務者が地下で強制労働をさせられている。
ひとりあたりの付きの基本給が910,000ペリカで、その9割が借金返済と施設利用料に引かれるため、手取りはたった91,000ペリカしかない。
1ヶ月フルで働いて、月に9,100円しか手元にこないのだ。
仮に200人が給料を受け取ると考えると月に2,000万ペリカの貨幣が地下王国で流通することになる。
2,000万ペリカは日本円にすれば200万円となるため、200人が働いていることを考えれば、経済規模は小さいといえるだろう。
ペリカの由来・意味
ペリカの名前の由来や意味があるかは不明だ。
ただモデルにされたであろうものはわかっている。
八重山列島の西表島北西部から内離島にかけて分布していた炭鉱「西表炭鉱」だ。
この炭鉱は最盛期には各地から1400名の労働者が集まり、年間12~13トンの石炭を算出していたが、1960年に休止となっている。
西表島はもともと人口が少なかったため炭坑労働者の多くは島外から集められた。
募集人の口上に乗せられ、日本各地や近隣諸国などから実情を知らされないまま島にやってきた人々は、まず島までの運賃や斡旋料などの借金を負わされ、いわゆるタコ部屋労働を強いられることになる。
炭坑で働くことによって借金を返済することになるが、給料は個々の炭坑責任者が管理しており、実際にはほとんど支払われることがなかった。
給料の代わりに「炭坑切符」と呼ばれる私製貨幣が支給され、会社経営の売店で食料や日用品と交換することができた。
炭坑切符は集めれば通貨と交換できるとされていたが、実際には交換されないばかりか責任者が交代すると紙切れ同然となっていたようだ。
カイジに登場する地下強制労働施設ではもう少し娯楽があるが、モデルといっても差し支えないだろう。
地下強制労働施設内=ペリカで買うことができるもの
地下強制労働施設内では様々な嗜好品や特典を購入することができる。
「キンキンに冷えてやがるっ・・・!」でお馴染みのビールを始め、大部屋で生活を強いられる労働者には嬉しい1日個室券なども購入できる。
- ビール500ml 6,000ペリカ
- 缶ビール350ml 5,000ペリカ
- 焼き鳥 7,000ペリカ
- 柿ピー 1,000ペリカ
- チョコチップクッキー 2,500ペリカ
- ポテトチップス 3,000ペリカ
- フルコースディナー(和・洋・中) 10,000ペリカ
- サービスランチ 50,000ペリカ・30,000ペリカ・10,000ペリカ
- 1日個室券(冷房、ビデオ、浴室付き) 150,000ペリカ
- 地下映画館 10,000ペリカ
- 1日外出券 500,000ペリカ
1カ月の給料である91,000ペリカでは購入できないものまで存在している。
労働者は地道に貯めるか、ギャンブルに興じてペリカを増やす必要がある。
1日外出券を使用して外出する場合、必ず居場所を特定されるGPS付き腕時計を着用させられ、更に見張りの黒服まで付いてくるため逃げる事も不可能である。
この地下強制労働施設についてはカイジのスピンオフ作品である「1日外出録ハンチョウ」内で細かく描かれているようだ。
実はこのスピンオフの主人公であるハンチョウ大槻が帝愛の許可を得て売店を営んでいる。
仕入れのために500,000ペリカの1日外出券を使い倒している大槻の「飯テロ作品」としても人気だ。
気になったらぜひこちらも読んでみてもらいたい。
ペリカによる売店経営の意義
地下には労働者たちを対象にした売店が運営されている。
こちらの売店経営は、地下という労働環境を考えれば比較的良心的だ。
利益は帝愛側と班長側で折半しているため値段は高いが、飲み物がしっかり冷やしてあったり、何か混ぜ物をしたりといった不正も見当たらない。
飲み物をキンキンに冷やすのは、購買意欲を煽るという意味合いもあるだろうが……。
また、労働者たちのガス抜きのために賭場も開帳している。
賭場の参加費は300ペリカと、なかなか良心的だ。地上の公営ギャンブルよりもリーズナブルといえる。
ただし、マンガに登場したような大槻班長のようなイカサマがあるため、クリーンなギャンブルが行われているとは言い難い。
ペリカと似たような通貨=現実に存在するか
現在は「ペリカ」のような通貨制度は違法となっている。
労働者保護の観点から事業者には「給与の通貨払いの原則」が課されている。
また、紙幣類似の作用・機能を有する物の発行等を取り締まることを目的としている紙幣類似証券取締法に違反する。
日本国内では地域通貨と呼ばれる商店街で発行されている商品券などがあるが、これは有効期限の設定がされていたり円以外の名称にしていたりと法に触れないようになっている。
地域通貨は円以外の名称を用いたり、有効期限を設定したり、円との兌換不可としたりと、法的問題が回避できるように工夫されているのだ。
それに対してペリカは円と10対1での引き替えが保障されているため、完全に違法であることがわかる。
ペリカでインフレになることはある?
地下通貨のペリカは、もともとの流通量が少ない上に、売店経営が適切に行われているため、ダブついてインフレになるような心配はない。
大量にため込んでも50万ペリカの1日外出券くらいしか使い道がないため、そもそもため込むメリットがあまりない。
しかも外出は許可された人間だけが行えるため、実際は班長クラスや体制側の人間しか使うことができない。
賭場で大勝したとしても、せいぜい売店で豪遊するくらいしか使い道がないのだ。
銀行などもないため、貯蓄や運営もできないし、ため込んでも大量消費手段がない。
また帝愛側がいつルールを変更するかわからないため、貨幣としての価値も非常に危うい。
そのため、ペリカによるインフレやデフレの心配はまずないといえるだろう。
総括:ペリカについて
昔は、現実世界で似たような使い方をされる通貨があり、不当に労働を強いられてきた人たちがいると思うとぞっとしてしまう。
ただ、もしかしたら闇ルートではカイジのような世界が広がってるかもしれない。
そう考えると最低限度の生活ができるだけでも幸せかも。
- ペリカはギャンブルマンガ「カイジ」に登場する私製通貨
- ペリカは日本円の10分の1の価値
- ペリカでは嗜好品だけでなく、個室や外出の権利も買える
- ペリカでインフレ・デフレは起こらない
- ペリカは現代でも違法である
カイジの世界に行ったとしたら、地下には行きたくないと強く思う。
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