東進グループは株式会社ナガセが運営しており、直営の「東進ハイスクール」とフランチャイズの「東進衛星予備校」を合わせて約1,000の校舎を展開しています。
東進の特徴と言えば映像を使った授業スタイルで、受けたい講座ごとに料金が掛かるようになっています。その講座の一つに「高速マスター基礎力養成講座(高速マスター)」というものがあります。
東進についてはネットなどでも良い評判と悪い評判が見られるのですが、こと高速マスターについては悪い評判の方が目立っているのが現実です。
そこでこの記事では「東進の高速マスターとは何か?」と、なぜ悪い評判が目立ってしまうのかについて解説していきます。
記事の内容
- 東進の高速マスターと料金システム
- 学費システム
- 高速マスターの値段・料金
- 東進のユニットという割引と高速マスター
- 高速マスターのやり方・使い方
- スマホでも高速マスターは使えるが・
- 高速マスターの完全習得
- 高速マスターを進めると獲得できる向上得点とは?
- 得られる効果や良い点
- 東進の高速マスターに対するネガティブな意見
- いらないと思える人たち
- 無料アプリがあれば意味がない?
- 考えられる悪い点
- 高速マスターができない
- 東進高速マスターの評判
- 東進の高速マスターは結局「費用対効果」の感じ方次第
- 総括
東進の高速マスターと料金システム
東進といえばCMなどでもお馴染みの有名講師陣による映像授業が思いうかぶ方も多いでしょう。
これらの映像授業は教科ごとに分かれて、さらに細分化された多数の講座に分かれており、その講座ごとに料金が掛かるシステムになっています。
そして高速マスターも講座の一つなのですが、その高速マスターの内容とともに東進の学費のシステムを知らなければ、高速マスターの良し悪しも理解できません。
ここでは東進の学費を含めたシステムを含めて、高速マスターというものを見ていきましょう。
学費システム
東進の学費システムは受ける講座の数が多ければ、それに比例して金額が増えていくようになっています。もっとも基本的な価格は1講座(90分の授業20コマ)が77,000円(税込)となっているので、一般的に多いといわれる3~8講座の受講で231,000円~616,000円の費用が掛かってしまいます。
東進の賢い使い方として「共通テストだけで使うような科目は受講せず、2次試験の苦手科目の受講だけにする」ということがよく言われます。校舎のスタッフに言われるがまま多くの講座をうけてしまうと、費用がかさむだけではなく、せっかくの講座を消化しきれないという結果となり、それこそ無駄な講座という思いしか残らなくなってしまいます。
高速マスターの値段・料金
東進の高速マスターも講座の一つなので、当然受講料が必要になります。選べる科目は「英語」「数学」「国語」の主要3科目だけではなく、「理科」「社会」もあります。
料金ですが主要3科目はセットになっていて77,000円なのですが、無条件で3科目とも高速マスターを利用できるわけではなく、通期講座を申し込んだ科目の高速マスターだけを利用できます。ただ後述するユニット申し込みをした場合は3科目すべて利用可能になります。
東進のユニットという割引と高速マスター
東進では講座を多く受けるほど料金が高くなりますが、多くの講座を受けたい生徒用に「ユニット料金」というシステムがあり、まとめて多くの講座を申し込むほど1講座あたりの単価が安くなります。高3の場合に選べるユニットを何パターンが抜粋しました。
ユニット | 通期講座数 | 高速マスター | 金額 | 1講座あたり |
20 | 19講座 | 1講座 | 910,800円 | 45,540円 |
15 | 14講座 | 1講座 | 888,800円 | 59,253円 |
10 | 9講座 | 1講座 | 676,500円 | 67.650円 |
5 | 4講座 | 1講座 | 352,000円 | 70,400円 |
この表を見て分かるようにユニット料金を適用する場合、講座の中に必ず高速マスターを1講座として受講しなければならないのです。つまり「高速マスターはいらないけどユニット申込はしたい」という希望は通りません。
高速マスターのやり方・使い方
高速マスターは正式には「高速マスター基礎力養成講座」という名称で、その名のとおり基礎的な学習能力を短期間で習得させるための講座です。
東進では「知識とトレーニングの両面から、科学的かつ効率的に短期間で基礎学力を徹底的に身につけるための講座」と定義していますが、簡単にいうと各科目・分野ごとに用意された大量の1問1答形式の問題を、パソコン(スマホ)上でひたすら解いていくというものです。
高速マスターのやり方ですが、高速マスターの中でも看板講座と言われている「英単語センター1800」を例に説明します。この講座はステージが18もあるボリュームで、当然のことながらステージ1からスタートします。
最初に「受講判定テスト」というものを受け、ここで95点以上(科目・分野によっては90点以上のものもある)の成績で「修了判定テスト」の1回目合格扱いとなります。ダメな場合でも後でテストは受けられるので心配はいりません。
各ステージではテストモードで英単語のテストを受け、正解した単語は「未修得」というステータスから「点検中」というステータスへ変わります。
その単語をもう一度テストモードで正解すると「修得」というステータスになり、ステージ内の単語が90~95%「修得」になると「確認テスト」を受けられるようになります。
確認テストに合格すると次のステージに進めるので、以後は各ステージで同じことを繰り返していくだけです。
全ステージの確認テストに合格すると「修了判定テスト」を受けるのですが、このテストで90~95%正解出来たら「修了判定テスト」1回目合格です。
つまり最初に受けた「受講判定テスト」合格者にここで追いつくことになります。
スマホでも高速マスターは使えるが・
高速マスターは科目・分野によって差があるものの、基本的にボリュームが大きいので、ちょっとした隙間時間にできると便利で嬉しいものです。
東進はスマホアプリを提供していて、そこから生徒IDとパスワードでログインするとスマホで高速マスターを利用でき、テストモードを進めることができます。
ただしスマホだと確認テストは受けられないので、スマホで行うのはトレーニングとテストモードでの「未習得」つぶしだと割り切りましょう。
高速マスターの完全習得
高速マスターで「修了判定テスト」1回目合格の状態になると4日後に再度修了判定テストを受けられるようになり、そこで合格できると「完全習得」となります。
つまりこの完全習得になることが高速マスターのゴールとなるのです。
ただし修了判定テストは2回連続で合格することが条件なので、そのことは覚えておきましょう。
高速マスターを進めると獲得できる向上得点とは?
東進の高速マスターを進めていくと「向上得点」というポイントを獲得できます。これは高速マスターだけではなく、他の講座を受講しても獲得できるものですが、これはどのようなポイントなのでしょうか。
この向上得点を分かりやすくいうと「東進の教材を使って勉強を頑張った証」のようなもので、表彰されることはあるにせよ、それ以外何か特典があるわけでもないのです。人によっては「東進に対する忠誠心の証」などと揶揄する意見もありますが、勉強の進捗度を測る指標にはなります。
得られる効果や良い点
基礎的な勉強を反復して短期間で覚えるための高速マスターですが、クイズ形式で楽しく覚えられ回答のレスポンス向上には大きな効果があります。高速マスターは東進のPOSというシステム上に正解不正解の履歴が残り、テストモードでは「未習得」「確認中」のものが出題されやすいので、自分の苦手なものの洗い出しが行えるのも効果的な点といえます。
また担任が進捗状況を管理していることがあり、自分一人だとサボってしまうようなタイプには鬱陶しく感じたとしても有難い点ではないでしょうか。
東進の高速マスターに対するネガティブな意見
世の中どんなものに対しても評価は分かれるものですが、それは人によって価値観や必要性が千差万別であることを考えると無理もないことです。
東進の高速マスターも同じで、必要性を感じない人にとっては「お金と時間の無駄」に映るようで、ここからはそう思えてしまう理由や原因について考えてみましょう。
いらないと思える人たち
東進に対する否定的な意見で「高速マスターはいらない」「お金の無駄」というものが多く寄せられているのが現実です。もちろん77,000円という費用が単純に高く感じるという人もいるのですが、一番の問題は「費用に見合う内容ではない」と思う事です。
先ほども高速マスターの例に挙げた「英単語センター1800」であれば、「難関大学向けの単語帳まで全て揃えても数千円なのに納得できない」という金額に対する意見や、「英単語一つに対して語意が一つだけで初心者以外には物足りない」という内容に関する不満などが多く寄せられています。
つまりある程度高いレベルの受験生にとって、東進の高速マスターはただのボッタくりにしか見えないのです。
無料アプリがあれば意味がない?
現在は様々なアプリが公開されており、中には東進の高速マスターと似たような機能を提供するものも存在しています。
東進の高速マスターに関する否定的な意見の多くで「あんな高い金を払わなくても無料アプリで十分」という書き込みがあり、無料アプリの活用の仕方次第では「その通り」と言えます。
しかし無料アプリだけで高速マスターの全カバー範囲を網羅できないことも事実なうえ、ある程度の基礎学力を有して、なおかつ自分を管理できるような受験生でなければ、「やらされている」感のある高速マスターの方がよいケースも多いのです。
考えられる悪い点
東進の高速マスターについて考えられる悪い点はそれほど多岐にわたるわけではありません。よく言われることは「高い」と「校舎の勧誘がウザい」の2点が圧倒的に多く、つまりこれらに関しては高速マスターのクオリティなどとは別問題です。また1年間という利用期限に関する文句も「高い」と類似したものです。
内容についてだと「高速マスター基礎力養成講座」という名前のとおり、あくまで基礎学力養成が目的で、しかも基本が「丸暗記」といえる学習になる点が、それが必要ではない生徒にとって一番悪い点だと言えます。また英単語の高速マスターだと1単語に訳語が1つだけなので、明らかに内容が薄いのです。
高速マスターができない
東進の高速マスターはパソコンやスマホからログインして、どこにいても学習できるというのがウリの一つですが、たまに「高速マスターができない」という事例を目にします。
いくつかのパターンがあるようで、アプリの不具合や「トップ画面から終了しないと同期できなくなる」など単純なケースがほとんどです。
またログインの認証に何度も失敗するとロックが掛かってしまい、そうなってしまうと生徒側のアクセス権限ではロックが解除できなくなります。その場合は先生に解除してもらわなければ復旧できないのです。
東進高速マスターの評判
ネットで東進の高速マスターに関する評判を調べると、悪い評判ばかり目につくことでしょう。しかしそれを詳しく見ていくと、ほとんどが「必要ないのに受けさせられた」ことに起因する悪口だと分かります。
実際、必要のない生徒が77,000円も負担させられるのは悪い印象しか残らず、それが高速マスター批判になるのも無理からぬことです。しかし本当の原因は「高速マスター」ではなく、必要のないものを受けさせようとする東進の校舎やスタッフの問題であり、ユニット料金でもそんな問題点が見えています。
総括:東進の高速マスターは結局「費用対効果」の感じ方次第
記事のポイントをまとめます。
東進の高速マスターについて
- 正式には「高速マスター基礎力養成講座」という名前
- あくまで講座の1つなので77,000円の費用がかかります
- 講座の割引システムに必ず組み込まれる高速マスター
高速マスターの使い方や実態ついて
- 短期間で知識を詰め込み「修得」を増やす「作業」です
- 修了判定テストを2回連続合格で「完全習得」
- 生徒にとってはあまり意味のない向上得点
悪い評判の多い原因
- 高いレベルの生徒にとっては無駄な高速マスター
- 無料アプリや参考書で多くの範囲がカバー可能
- 校舎や担任の営業がウザい
- 高速マスターには罪がないのです
東進の高速マスターについて調べていくと、本来高速マスターがターゲットとしている受験生とズレが見られ、いわゆる「ミスマッチ」による悪評が多いことが分かります。
必要な受験生には良い点も多い高速マスターなのですが、自身に必要かどうかをよく考えてから受講しないと「割に合わない」という結果になりがちです。東進の高速マスターを検討、あるいは校舎から勧められている受験生は、体験などしてから検討することが後悔しないため重要なポイントになります。それが東進の高速マスターなのです。