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三角絞めとはポピュラーだが危険な技:やり方やコツ、原理や逃げ方等

三角絞め(さんかくじめ)とは、格闘技で使用される絞め技の一種だ。

有名な技のため、名前は聞いたことがあるものの、どんな技なのか詳しくは知らないという人が多いかもしれない。

この記事では三角絞めのやり方や原理、技からの逃げ方についてまとめている。三角絞めが登場する映画についても載せているため、興味がある人は、ぜひ参考にしてほしい。

三角絞め

記事の内容

  • 三角絞めとは?技の原理やコツ
  • 技の原理
  • 柔道で禁止されているやり方
  • 上手に極めるコツ
  • すき間をなくすことがポイント
  • 仕掛けられた場合の逃げ方
  • 三角絞めの分類
  • 喧嘩などの実戦で使えるか?
  • 柔術と柔道の違い
  • 三角絞めが印象的な映画
  • 三角絞めはやり方によってとても危険な技
  • 意識を失わせて死亡させた事件
  • 柔道事故で後遺症が残ることも
  • 三角絞めはポピュラーな絞め技だが危険度が高い
  • 総括

三角絞めとは?技の原理やコツ

三角絞めとは、格闘技の寝技の一種で三角形に組んだ両足の中に相手の首と腕を捕らえ、足の力で締め付けることによって頸動脈を締める技である。

もともとは岡山第六高等学校高専柔道の金光彌一兵衛と早川勝の稽古中に編み出され、「松葉がらみ」と命名されて、1922年頃から柔道で使用され始めた。

近年では、寝技の比重が少なくなってきた柔道よりも、ブラジリアン柔術や総合格闘技の試合において多く見られるようになる。

あらゆるポジションからの仕掛け方が研究され、それに対する防御も研究・実践されているのだ。

三角絞めとは

技の原理

三角絞めは両足を使って、相手の首と腕を同時に締める。

上からかけるタイプや下からかけるタイプなど、そのときの体勢に応じて自在に仕掛けることができるため、バリエーションに富んでいる。

名前の通り、技が決まったときは両足の形が三角形になる。

後頭部のやや頭頂側を両手で抱えることで、てこの原理により頸椎を曲げる方向に圧をかけることができる。

自分の右股関節が相手の左肩の真下にあると、相手の頭にこちらの右ふくらはぎが引っかかって体重がかかるので、相手は逃げられなくなってしまう。

また、自分の右足首を曲げて、左の関節をひねることでさらにきつく締めることも可能だ。

このとき、右膝裏と相手の首の間にすき間をなくすことが重要なポイントとなる。

  • 後頭部を押さえる
  • お腹を突き上げる
  • 右膝を曲げる
  • 左股関節をひねる

この4つを同時に行うことで三角絞めが極まる。

三角絞めは相手の右肩と首を挟むことで、頸動脈洞を圧迫して失神させる技だ。

総頸動脈から内頸動脈が分岐し隆起した部分を頸動脈洞という。ここには圧力を検知するセンサーがあり、強い圧力を検知すると、脳を守るために自律神経から心臓に対して血圧を下げるように反射が起こる。

その結果として、相手は失神してしまう。

柔道で禁止されているやり方

下から三角絞めを行う際、自分が仰向けになった状態で、両足を使い、相手の首と肩をロックする。

このとき、自分の股間に相手の片腕と頭を挟み込むような格好になる。そうして挟んでいる相手の襟、または袖を引き込み、しっかりと締めていく。

このとき、首のみを絞めることは柔道で禁止されている。

首のみを絞めるのは危険な上、試合では反則になってしまうので気をつけよう。

柔道で禁止されているやり方

上手に極めるコツ

三角絞めはさまざまな体勢から仕掛けることができるが、基本は自分が仰向けになって相手を引き込むことになる。

この際、締める脚の膝の真後ろを相手の頸動脈に当てる。そして、その足首をもう一方の足の膝裏でしっかり挟んで三角に締める。

ポイントは両脚の挟み方だ。

一方の足首を他方の膝の真後ろでしっかり挟み込まないと、力が十分に伝わらなくなってしまう。正しい足の挟み方をしていれば、直角かそれ以上に足が曲がるはずだ。

四つん這いの相手に対して仕掛ける三角絞めは横三角絞めと呼ばれる。

相手に対して右手は後ろ帯を、左手は後ろ襟をつかみ、右足を相手の左膝の上に置く。

右足を相手の脇下にねじ込み、同時に相手の頭の方向に移動して、両脚で相手の腕と首を挟む。

さらに左手で相手の肘を引き上げ、相手を横に倒す。

それから素早く両脚で相手の腕と首を挟んで、その腕を柔道着か帯でくくってしまう。

左手で相手の左腕を引きつけながら、両脚で相手の頸部と上腕を挟んで両脚で圧迫してしっかり締める。

横三角絞めの場合は、臀部ができるだけ上を向くようにしよう。そうすることできつく締まり、押さえ込みへの連携もしやすくなる。

三角絞めで重要なのは脚力だ。

そのためには枕を股に挟んで締めつける練習が有効とされている。枕が壊れるまで練習して、三角絞めを極めよう。

すき間をなくすことがポイント

三角絞めのような絞め技において、すき間があってはいけない。

すき間があると、そこから逃げられてしまいギブアップを取ることができない。

すき間を限りなくなくすことが三角絞めを成功させるポイントになる。

そのためには膝とふくらはぎにも意識を向けたい。

右膝と左膝を寄せて相手の頭をしっかり挟み込むようにする。

そこから自分のふくらはぎを上手く使って相手の首の後ろから肩口にかけて圧をかけていく。

練習する際は、足だけを使って感覚を掴むように使用。

手を使わずにふくあらはぎで相手の背中に圧をかけ、同時進行で膝も絞めていく。

この動作になれてきたら相手に少し抵抗をしてもらい、それでも逃がさないように練習してみよう。

何度も繰り返しやることで感覚がつかめてくるはずだ。

仕掛けられた場合の逃げ方

三角絞めを仕掛けられたときの基本的なガードは以下の通りだ。

  • 引っ張られた腕の脇を絞める
  • 絞めた腕と逆の手を使って相手の腰から腹を押す
  • 相手の足が開いたら脇を締めていないほうの手で引きはがす

このとき、相手の腰の下に膝を入れて、相手の頭を下げづらくするのがポイントだ。

回りながら逃げる場合は以下のようになる。

  1. 腕を引っ張られたら相手の体を九の字にする
  2. 引っ張られたほうの腕をクロスさせるように相手の頭の横に置く
  3. 引っ張られた腕があるほうの脚で相手の腰にプレッシャーを与える
  4. 脚で相手の頭をまたぎ、そのまま回転してサイドを取る

こうすると相手はなかなか三角絞めをすることができない。さらにこちらがサイドを取れるため、反撃もしやすくなる。

体格差と力があれば、相手を持ち上げて地面にたたきつける方法もある。

いわゆるプロレス技のパワーボム・バスターと呼ばれる技だ。

しかし、とても危険な技のため、練習や試合では禁止されていることが多い。

あくまでもプロのリングだけで使うようにしよう。

三角絞めの分類

三角絞めと称する技は多種多様にある。

その中で有名なものを挙げると、以下の4種類がある。

  1. ガード下からの前三角絞め
  2. バックからの後ろ三角絞め
  3. 亀の相手に対しての横三角絞め
  4. 横四方固めへのカウンターの横三角絞め

これらの共通点は、相手の肩と脇を足でシートベルトのように挟み込む点にある。

また肩のほうに接した脚を首に巻き付けるように折り曲げ、そちらの足首を脇に刺した脚の膝裏に組む点も同じである。

しかし、相手に対する体の向きはすべて異なる。

相手の正面からかける技なのか、相手の背後からかける技なのか、またはお互いに寝たときに頭の向きが同じか逆かによって分類できる。

喧嘩などの実戦で使えるか?

嘉納治五郎は講道館柔道の創始者で柔道の父ともいわれている。

日本古来からあった柔術を柔道としてスポーツ化することに成功して、世界への普及に大いに貢献した人物だ。

嘉納治五郎は前三角絞めに対して「実戦では上から顔を踏みつけられるだろう」「持ち上げられて落とされたらケガをするのではないか」と否定的であった。

しかし、実戦で三角絞めが効果を発揮したシーンがあった。

クリスチアーノ・マルセロとチャールズ・ベネットのPRIDE選手控室で乱闘となった。

クリスチアーノ・マルセロはブラジルの柔術家でヒクソン・グレイシーの自宅に2年間住み込んでいたことがある。

そんなマルセロに対してベネットが襲いかかるのだが、控え室にも関わらず、リングのように完全に相手の動きをコントロールする。

嘉納治五郎は三角絞めの際に、上から踏みつけられることを懸念していたが、脚を上げた瞬間にバランスを崩してしまうのは間違いないだろう。

ベネットはマルセロを何とか外そうとするが、結局、そのまま絞め落とされてしまう。

これにより、実戦であっても三角絞めが有効なことは完全に証明されたことになる。

柔術と柔道の違い

三角絞めは柔術でも柔道でも使われる技だ。

では、そもそも柔術と柔道とはどこが違うのだろうか。ただ呼び方が異なるだけなのだろうか。

柔術は日本古来の武術で、主に徒手空拳で突く、打つ、蹴る、投げる、組むなどの技術を使って敵を攻撃して制圧したり、相手から攻撃を防御するものである。

また、流派によっては武器を使う場合もある。

もともとは武器が使えない状況に陥ったときに生き残るための戦闘格闘技である。

これがブラジリアン柔術になると、素手での寝技や組技を主体とした格闘技になる。

その昔、ブラジルに渡った前田光世が現地の人に柔道や柔術を教え、それが広がった結果、ブラジリアン柔術となった。

彼の教え子として、後にグレイシー柔術を立ち上げることになるエリオ・グレイシーなどがいる。

柔道は日本で長い歴史をもつ柔術を用いて行われる武道のことだ。

明治期に嘉納治五郎が、柔術にあるさまざまな要素を吸収して作り上げたと言われている。

身体的に鍛えるのではなく、精神的な鍛錬も重視する武道として今日まで広がっている。

柔道は柔術から派生していることもあり、歴史は柔術のほうが古い。

柔道は日本古来の柔術にあった精神的な理念をもとに作り上げられた武道である。

やがてそれが国際的なスポーツにまで発展していったというわけだ。

三角絞めが印象的な映画

三角絞めが印象的な映画として『聖女 Mad Sister』がある。

日本では2019年に公開された韓国映画で原題は『No Mercy』だ。

元警備員のイネは過剰防衛で1年半も収監されてしまう。

出所した彼女はたったひとりの家族である妹のウネのところへ変える。

ウネは障碍があり実年齢は17歳だが、精神年齢は10歳ほどだ。

ウネは学校のいじめっこたちに美人局に利用され、そこでトラブルに巻き込まれてしまう。

イネはウネを助けるためにトラブルの元となったヤクザのところへ行き、男達を打ちのめす。

この格闘シーンで三角絞めが登場する。

悪徳業者に三角絞めをしかけたイネは、そのまま男を落としてしまう。

若い女性が男を失神させる印象的なシーンだ。

三角絞めはやり方によってとても危険な技

格闘技で使われる三角絞めだが、やり方によっては相手をケガさせてしまう可能性もある。

そればかりか後遺症が残ってしまったり、死亡してしまったりすることもあるため、十分に注意が必要だ。

三角絞めはやり方によってとても危険な技

意識を失わせて死亡させた事件

2021年10月、沖縄県で三角絞めによって相手を死亡させた事件があった。

逮捕された容疑者は沖縄市にある廃棄物処理施設で、同僚を背後から引き倒し、右腕で首を三角絞めのような形で絞めた。

同僚は意識不明の状態で病院に運ばれたが、その約1時間後に死亡が確認された。

仕事上のトラブルがきっかけであったと見られ、そこから口論に発展して事件が起こったようだ。

三角絞めは格闘技でも相手を失神させるほどの効果がある。

そんな危険な技を何の制限もない場所で使ってしまえば、相手を死亡させてしまう可能性も十分にあるのだ。

柔道事故で後遺症が残ることも

学校の部活でも柔道は行われている。

部活では教員や指導者が未然に事故を防ぐ注意義務がある。

その義務を怠り、事故が発生した場合、学校や指導者に対して損害賠償請求することができる。

柔道では頭部や頸部のケガが起こりやすい。

たとえば、頭部の重大なケガだと急性硬膜下血腫がある。

大外刈りや大内刈り、背負い投げなどで投げられたときに、後頭部を強打することで大けがになってしまうことが多い。

頸部の重大なケガは、頸髄損傷、頸椎脱臼・骨折などがある。

頸髄や頸椎を損傷してしまうと、運動障害や感覚障害、排他機能障害などが生じる恐れがある。

フランスでは、柔道指導者に救急救命士の資格まで取らせている。

2年間で300時間以上もの講習を義務づけ、最後は国家試験をパスする必要がある。

つまりフランスでは柔道指導者は国家資格なのだ。

それに対して日本は10時間の講習で指導者資格が取れる。

体育教師ならば未経験でもたった3日の講習で黒帯がもらえるところもある。

日本ではまだまだ柔道に対する危険性の考えが甘いといえるかもしれない。

三角絞めなどで、もし後遺症が残るような怪我をしてしまった場合は、弁護士などの専門家に相談しよう。

総括:三角絞めはポピュラーな絞め技だが危険度が高い

記事のポイントをまとめよう。

三角絞めは格闘技の寝技の一種

相手の首と腕を同時に絞めることで意識を失わせる

  • 三角絞めで首のみを絞めることは禁止されている
  • 三角絞めで重要なのは脚力

三角絞めをされたときの逃げ方

三角絞めは喧嘩などの実戦でも通用する

柔術と柔道の違い

三角絞めが印象的な映画『聖女 Mad Sister』

三角絞めはやり方によってはとても危険

  • 三角絞めで人を死亡させた事件
  • 柔道で後遺症が残る場合もある
  • フランスでは柔道指導者は国家資格

三角絞めは格闘技の技の中では知名度が高く、ポピュラーな絞め技である。

その名の通り、脚を三角に組むことから三角絞めと呼ばれている。

相手の意識を失わせるほど強力な技のため、迂闊に使うのはとても危険である。

相手を失神させるだけでなく、それ以上の重傷になってしまう可能性も十分にある。

この記事を参考にして三角絞めに関する正しい知識を身につけてほしい。

 

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