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幻想即興曲の難易度を完全理解【ランキングあり】

難しいピアノ楽曲といえばと聞かれるとトップ3には入ってくる幻想即興曲。

聞いただけで断念した人も多いのではないだろうか。

そこで今回は以下の順番で解説していく。

幻想即興曲の難易度

記事の内容

  • 幻想即興曲の難易度:ショパン
    とにかく音域が広い
    左手の低音も忙しなく動いている
    ペダルも必要
    メロディが同時進行している
  • 幻想即興曲の作曲者、ショパンについて
  • ロマン派を代表する作曲家のショパン
  • 幻想即興曲とユリアン・フォンタナ
  • 幻想即興曲の難易度ランキング
    4位 愛のかなしみ
    3位 エチュード集第4番Op.10-4嬰ハ短調
    2位 超絶技巧練習曲集 第5曲鬼火
    1位 パガニーニ大練習曲 第3曲ラ・カンパネラ
  • 幻想即興曲と革命の難易度は?
  • 幻想即興曲と子犬のワルツの難易度は?
  • 幻想即興曲とトルコ行進曲の難易度は?
  • 総括

幻想即興曲の難易度:ショパン

ショパンの幻想即興曲は、ピアノ楽曲の中でも屈指の難易度と言われている。

それは一体なぜなのか、理由を4点解説していく。

https://youtu.be/unvMtZ5hcp8

とにかく音域が広い

一小節の中の音の動きがとても大きいのが難しい理由の一つとして挙げられる。

音の幅が広くなることによって、壮大感が増しているのだろう。

どれだけいいメロディでも音が一個しかなければ、物足りなく人々の心には響かない。

また高い音ばかりが連続して並んでいる小節が少ないのも、この楽曲の特徴だ。

ショパンの幻想即興曲の難易度

このように合間合間に少し低い音符が二、三個挟まっていることによって、高音特有のキンキンした響きが緩和されむしろアクセントになっている。

これもピアノ奏者に難しいと思わせる理由のひとつだろう。

左手の低音も忙しなく動いている

楽譜を見ずに楽曲だけ聞くと、右手の方が複雑に動いてるように聞こえる。

しかし実は左手もそれ相応に動いているのだ。

左手が四分音符や長い音符だと疾走感は薄れてしまうだろう。

低音は目立たないが、曲の中でとても重要な役割を果たしている。

0:56からは曲の印象がガラッと変わり、落ち着いた印象を受ける。

と思いきや左手は同じようになめらかな旋律を紡いでいる。

この曲を弾き終わって一番疲れているのは、右手ではなく左手の方かもしれない。

ペダルも必要

ペダル奏法は意外と忘れがちである。

ピアノを弾く前に楽譜とにらめっこをするだろう。

ここは何指で弾くかメモする人もいる。

そしていざピアノの前へ行き、イスに座る。

そこでやっとペダルの存在に気づくのだ。

通常のピアノは鍵盤を押せば音が鳴り、離せば音は消える。

管楽器のように息を調整したりして余韻を残すことは出来ない。

それを補うのがペダルだ。

ペダル奏法

下の音符の左下にあるのがペダルを踏むということを示す記号で、この小節では二回踏むところがある。

また、※のようなマークで足を離す。

ペダルを使用することによって、鍵盤が離れた後も音が響きやわらかくなる。

この幻想即興曲のように連符をよりなめらかに表現することが可能になるのだ。

つまり演奏中は右手と左手、そして足の三つを同時に動かさなければならない。

どれか一つでも間違えれば違和感を覚えるだろう。

見た目以上に労力を使うことが分かる。

メロディが同時進行している

左手はあくまで伴奏、そう思われがちだがこの曲は違う。

左手だけ聞けばメロディラインが聞こえてくるようだ。

規則的に音符が散りばめられているようにパッと見た時は感じるだろう。

しかし実際は左手が単調なところでは右手が付点音符になっていたりするため、結局リズムが取りにくくなる。

また弱起、つまりアウフタクトで入るところが多いのも難しいと感じるポイントだ。

誰もが知っている童謡、おおきな古時計もアウフタクトで始まっている例である。

メロディが同時進行

曲の大体は小節の初めから始まっていることがほとんどだ。

しかし中には小節より前に音符が存在することがある。

普段は違和感がなくても音楽に拍子はとても大切になってくる。

合唱をする時、指揮者が必ずいるだろう。

それと同じなのだ。

幻想即興曲の作曲者、ショパンについて

幻想即興曲はショパンによって作られたピアノ楽曲だ

亡くなる直前に書かれていた遺作とも言われている。

ここからはショパンに焦点をあててどんな人物なのかを解説していく。

幻想即興曲の作曲者、ショパンについて

ロマン派を代表する作曲家のショパン

ショパンは19世紀に活躍したヨーロッパを中心とする音楽家である。

主にドイツやヨーロッパで流行った音楽の形式を一般的にロマン派と呼ばれている。

ショパンの他にシューベルトやシューマンもロマン派音楽を作っていた。

ロマン派と言われると小難しいイメージがあるが、そのままの意味で捉えれば良い。

好きな人に対して思うがままに作曲したなどロマンチックがテーマになっている曲のことを指す。

ロマン派の前は古典派音楽が確立されていた。

古典派音楽は曲を全体的に見てつり合いが取れているものが特徴だ。

極端な言い方をすると型にはまっている音楽が多かった。

音の厚みを増やすのであれば決められた和音やオクターブ奏法を使う、トリッキーな音の置き方はしないというようにだ。

古典派の有名な作曲家としてベートーヴェンが挙げられる。

それに対してロマン派は、作曲者個人の人間性を主張する音楽である。

作曲者が思い思いに音を置くようになり、表現力が段違いに上がった楽曲が作成されはじめた。

不協和音もかなり使うし、一小節にさまざまな機能を使って表現の幅を広げる。

今では途中で転調する曲も多いが、この始まりもロマン派からなのだ。

ショパンは幻想即興曲のように思いが詰まっている曲を複数作っていたため、ロマン派では有名になった。

幻想即興曲とユリアン・フォンタナ

幻想即興曲を語る上でユリアン・フォンタナの存在を忘れてはいけない。

彼もピアニストや先生としてフランスで活躍していた音楽家だ。

作った楽曲もピアノをメインにしたもの多く、ショパンとジャンルも同じだ。

なぜフォンタナは重要な人なのか。

実は幻想即興曲は、ショパンではなくフォンタナによって発表されたのだ。

ショパンは1849年10月に肺結核によって亡くなっている。

しかし幻想即興曲は、1855年に発表されているのだ。

空白の6年間があるのは他の人物が発表したか、後から見つかったかのどちらかだろう。

今回は前者であり、フォンタナがこっそり発表したため世に広まった。

幻想即興曲を作ったものの、公表するのをショパンは拒んでいた。

その旨を友人のフォンタナに伝えていたのだ。

理由は定かではないが、有力なのはベートーヴェンの月光と曲の構成が似ているからと言われている。

https://youtu.be/mbqJ-SeVp20

 

確かに序盤の連符や音の強弱は似ているように聞こえる。

月光は1801年に発表されている楽曲のため、パクったのではないかと言われたくなかったのだろう。

音楽家としては、あらぬ疑いをかけられないように避けて通りたい道なのは理解出来る。

しかしその遺言を無視して、フォンタナは幻想即興曲を発表した。

確かにこれほど魅力的な楽曲をそのままにしておくのはもったいない。

ショパンは天国で怒っているかもしれないが、フォンタナのこの行動がなければ幻想即興曲は日の目を見ることはなかったのだ。

幻想即興曲の難易度ランキング

幻想即興曲はテンポが早く、連符も多いためかなり難しいことで有名である。

しかし、ピアノ業界はさまざまな曲で溢れており幻想即興曲より難しいものも存在する。

今回は独断と偏見ではあるが、似たような曲を集めランキングをつけてみた。

難しい順に並べた結果がこれである。

  1. ラ・カンパネラ
  2. 鬼火
  3. エチュード第4番Op.10-4
  4. 幻想即興曲
  5. 愛のかなしみ

では、幻想即興曲を抜いた4曲の順位の理由を一つずつ解説していく。

幻想即興曲の難易度ランキング

4位 愛のかなしみ

愛のかなしみ

フリッツ・クライスラーより1905年に発表されたのがこの曲だ。

序盤はゆったりとしているが、中盤の1:32あたりから連符が増えてくる。

またその連符の中には、五連符や七連符も存在するのだ。

一拍の間に音符を五つ、七つ入れないといけない。

それに加えて全てスラーがついている。

スラーとは、音と音を途切れないように演奏する時に用いられる記号だ。

飛び飛びの音符を続けて弾くのは難しいだろう。

このような理由で、一部では愛のかなしみの方が難しいとも言われている。

しかし幻想即興曲に比べると連符が少なく、テンポも遅めのため幻想即興曲よりも下の5位にしている。

3位 エチュード集第4番Op.10-4嬰ハ短調

エチュード集第4番Op.10-4嬰ハ短調

1832年にショパンが発表したエチュード集より第4番がランクイン。

バンダイナムコが開発している音楽ゲーム、太鼓の達人でも使われている人気曲だ。

別名練習曲とも呼ばれている。

しかし練習曲だと思って挑むとかなり痛い目を見る。

幻想即興曲に劣らず音の密度が高く、主旋律が右手から左手へと移り変わるため激しい一曲に仕上がっている。

どこが練習曲?と突っ込んだ人もいるだろう。

同じメロディラインで進行していくが、途中転調が入るため注意が必要だ。

慣れてくると指が覚えるため、指を柔らかくするためのウォーミングアップに片手だけ弾く人もいる。

弾き切った時の達成感は計り知れないだろう。

2位 超絶技巧練習曲集 第5曲鬼火

超絶技巧練習曲集 第5曲鬼火

超絶技巧練習曲集の第5曲鬼火、略して鬼火はフランツ・リストが1851年に作曲し1852年に発表された曲だ。

楽譜を見るだけでも威圧感がすごい。

何より難しいのがメロディラインが抽象的なところだろう。

曲というより効果音の詰め合わせといっても良いくらいだ。

楽譜を見ているだけでも今どこを演奏しているか見失ってしまいそうで、難易度は高い。

私たちがよく聞いているJPOPなどの音楽は、必ず形式がある。

Aメロ、Bメロ、サビといった言葉を聞いたことがあるだろう。

AメロBメロサビまでいくと、2番と称してまたAメロに戻る。

聞き慣れた音楽はこのような構成で作られている。

しかし鬼火はこの構成に全く当てはまらない。

進めば進むほど違う音を魅せてくれる。

それがこの曲の醍醐味なのだろう。

下の楽譜には、ヘ音記号とト音記号が混じっている。

同じ場所の音符でもどちらかによって音は全然違ってくる。

また、クレッシェンドとデクレッシェンドが一小節の中で多用されている。

最大まで力強く弾き、その次は小さく弱く鍵盤を叩く。

これを違和感ないように徐々にしなければならない。

指の動きに加えて表現力も重要になってくるだろう。

1位 パガニーニ大練習曲 第3曲ラ・カンパネラ

パガニーニ大練習曲 第3曲ラ・カンパネラ

ピアノ経験者は声を揃えて言うだろう。

ラ・カンパネラより難しい曲はないと。

1832年に作曲され1834年に発表されたフランツ・リストのピアノ曲だ。

聞いてみて馴染みがある人は多いのではないだろうか。

吹奏楽やオーケストラなどでも編曲されたバージョンがよく演奏される。

編曲版はそこまで難しくはないが、ピアノになった瞬間に難易度が上がるのだ。

パガニーニ大練習曲

まず初めの小節、主旋律の音符と音符の間にずっとレが鳴り響いている。

親指と小指を使い、往復しながら演奏をするパートだ。

また音符にはアクセント、強調して力強く弾く記号がついている。

聞いている方はメリハリがあり綺麗に聞こえるが、弾く方はたまったもんではない。

この曲はメロディラインが何度か繰り返されつつ展開していくが、回を重ねるにつれて装飾が多くなる。

これは1:40からのラ・カンパネラの楽譜だ。

ラ・カンパネラの楽譜

先ほどの冒頭の楽譜に比べて刻みが増え、音符の密度が高くなっているのが分かるだろう。

ピアノに限らず、楽器は違う音を連ねるより同じ音を何度も演奏する方がより難しい

ドレミと弾くのであれば親指→人差し指→中指で良いが、ドドドだと親指で3回弾くことになる。

どちらが難しいかは一目瞭然だろう。

幻想即興曲の同じくらいの難易度の曲

幻想即興曲は完璧に演奏出来ないが、同じくらいの曲であれば挑戦してみたい。

そのような方のために、似たような難易度の曲を3つ紹介していく。

幻想即興曲と革命の難易度は?

よく比べられるのがエチュード第12番の革命だ。

幻想即興曲と同じフレデリック・ショパンによって作られたからだという理由もあるだろう。

これも有名な曲なので、聞いたことのある人も多いのではないか。

左手は常に十六分音符を奏でているが、右手の動きは比較的少ない。

そのため、幻想即興曲よりは簡単だったという意見もちらほらとある。

一曲を通して力強さがテーマになっており、アクセントがついている音符がたくさんある。

途中で連符でバテてしまっては、曲のイメージを崩してしまう。

そこがまた難点だろう。

幻想即興曲と子犬のワルツの難易度は?

1846年から1848年にかけてフレデリック・ショパンが作曲されたのが子犬のワルツだ。

これも聞き馴染みのある曲だろう。

給食や掃除の時間にも流している小学校もある。

主旋律がはっきりしているため、リズムも取りやすく覚えてしまえば楽に弾くことが出来る。

とは言っても連符は多いので油断は禁物だ。

左手はズンチャッチャという三拍子の典型的なリズムを刻んでいる。

そのため右手のメロディをまずは練習してから、ゆっくり左手を合わせるとすぐ上達するだろう。

幻想即興曲とトルコ行進曲の難易度は?

トルコ行進曲はベートーヴェン作曲、モーツァルト作曲の2種類あるが今回紹介するのはモーツァルトの方だ。

ちなみに作曲された年代に関しては、確かな情報がなかった。

この曲もシンプルな構成をしているため弾きやすいだろう。

モーツァルトのトルコ行進曲のポイントは、オクターブをどれだけ上手く弾きこなすかだ。

モーツァルトのトルコ行進曲のポイント

この楽譜のフレーズは、1曲を通して3回も出てくる。

3回目は少し装飾が追加されているが、基本はハモリではなくオクターブでの演奏だ。

曲を作ったりする時、無理やりハモリを入れようとする人がいる。

間違いではないが音を重ねるのではなく、オクターブ上か下に追加するだけで厚みが増える。

モーツァルトのトルコ行進曲が最たる例だろう。

総括:幻想即興曲の難易度は高い

幻想即興曲はかなり難易度が高いピアノ楽曲だ。

しかし弾けるようになると自分の強みにもなり自信もつく。

初めから諦めるのではなく、まずは楽譜を読むことから始めてみればすんなり完奏出来るかもしれない。

ピアノの楽しさをより一層感じられるので、ぜひ挑戦してみてほしい。

 

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