三大権利とは【生存権・教育を受ける権利・参政権】三大義務との違い

日本の政治は、日本国憲法に定められた体制に基づいて行われている。

言い換えるならば、日本は法律をルールにして動いている国であり、いわゆる法治国家ということになる。

法治国家では、国民の意志によって制定された法律を守り、国政が行われている。このような社会を成り立たせるために、日本では国民の基本的人権を保障している。

そうして国民みんなが法律というルールを守ることで、安心して生活できる環境が実現できる。もしルール違反をしたならば、厳しい罰則が用意されている。

さらに日本国憲法では国民の三大義務や三大権利が定められている。

ここでは国民の三大義務と三大権利、また日本国憲法の三大原則について分かりやすく説明していく。混同しやすい要素があるため、しっかりと区別して理解して欲しい。

三大権利

記事の内容

  • 日本国民のと三大義務と三大権利
  • 国民の三大義務
    1.教育の義務
    2.勤労の義務
    3.納税の義務
  • 国民の三大権利
    1.生存権
    2.教育を受ける権利
    3.参政権
  • 三大権利と間違えやすい三大原則とは
    1.国民主権
    2.平和主義
    3.基本的人権
  • 義務教育は三大権利?三大義務?
  • 総括

日本国民のと三大義務と三大権利

国民の三大義務とは、以下の3つである。

  1. 教育の義務
  2. 勤労の義務
  3. 納税の義務

憲法には、さまざまな権利が定められているが、義務として規定されているのは、この3つだけである。

また、国民の三大権利は、以下の3つである。

  1. 生存権
  2. 教育を受ける権利
  3. 参政権

それぞれ詳しく見ていこう。

三大義務と三大権利

国民の三大義務

国民の三大義務について詳しく説明していく。

1.教育の義務

国民の三大義務として、最初に出てくるのが教育の義務である。

これは憲法26条に規定されている。

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。(日本国憲法 | 文部科学省

憲法26条の1項で、すべての国民には教育を受ける権利があることを規定している。

また、2項では、保護する子女に対して普通教育を受けさせる義務を負うと規定している。

我々は、小学校6年間と中学校3年間の義務教育を受けている。

義務と書かれているので「子供が教育を受けなければならない義務」と勘違いしてしまいそうだが、義務があるのはその親たちである。

子供は教育を受ける権利を持っているため、自分の意志で学校に通っていることになる。

2.勤労の義務

勤労の義務は、憲法27条に規定されている。

第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。(Wikipedia

日本国憲法によって、我々は勤労の権利を持っている。権利があるから、仕事をすることができるわけだ。

また、勤労は義務でもあるため、働かなければならない。ただし、ここでの義務は強制労働という意味ではない。国からさまざまな保障を受けるためには、仕事をするべきだという意味合いになる。

研究者の中には、勤労の義務という規定は不要と考えている者もいる。その理由は、遺産などの不労所得で暮らしている人が、義務を放棄していることになるからだ。

しかし、彼らは納税の義務はしっかりと果たしている。そのため、納税の義務だけで十分と考えている人もいる。

3.納税の義務

納税の義務は憲法30条に規定されている。

日本国憲法第30条
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
納税の義務 | 国税庁

教育の義務と勤労の義務が権利と一緒に規定されているのに対して、納税の義務は権利の規約がない。ここが大きな違いである。

税金は、国や行政が、我々から一方的に徴収していくため、権利とは言い難い。

普段から喜んで税金を支払っている人はいないだろう。誰だって少しでも税金を払いたくないと考えているはずだ。しかし、日本には申告納税制度がある。もし、誤った金額を申告してしまうと、罰金が科されることもあるため、必ず正しい金額を支払う義務がある。

▼参考

国民の三大権利

国民の三大権利について詳しく説明していく。

1.生存権

日本国民の三大権利の1つは生存権である。

生存権は日本国憲法第25条に規定されている。

日本国憲法第25条
すべての国民は、健康で文化的な最低限どの生活を営む権利を有する(Wikipedia

生存権とは、誰もが人間らしい生き方ができることを権利として明言したものである。

国民が権利を持っているのに対して、国は社会福祉や社会保障を整える義務が課せられている。

2.教育を受ける権利

教育を受ける権利は、義務教育の義務と一緒に日本国憲法第26条に規定されている。(前述)

教育を受ける権利を実現させるため、教育基本法に基づく学校教育法、社会教育法、私立学校法などによって、教育制度が整備されている。

3.参政権

参政権とは、政治に参加する権利のことである。

日本では、選挙権と被選挙権が与えられている。

選挙権を持つためには、必ず備えていなければならない条件(積極的要件)と、ひとつでも当てはまった場合、選挙権を失う条件(消極的要件)がある。

たとえば、衆議院議員や参議院議員の選挙は、日本国民で満18歳以上ならば誰でも行うことができる。

それに対して、禁錮以上の刑に処せられていたり、選挙に関する犯罪を行っていると、選挙権を失ってしまう。

また、衆議院議員や参議院議員に立候補するためには、日本国民であり、なおかつ年齢を満たしていれば十分ある。たとえば、衆議院議員に立候補したければ、日本国民で満25歳以上である必要がある。

参照:選挙権と被選挙権 | 総務省

参政権

▼参考

三大権利と間違えやすい三大原則とは

日本国憲法には、三大原則と呼ばれる3つの重要な原則がある。中学校の公民の教科書でも学んだはずだ。

三大原則とは、以下の3つである。

  1. 国民主権
  2. 基本的人権の尊重
  3. 平和主義

三大権利と間違えやすい三大原則

▼参考

1.国民主権

国民主権とは、国民が国のことを決める権限を持っているという原則のことだ。

もともと日本は天皇を中心した社会であり、大日本帝国憲法でも天皇が主権者だった。現在の日本国憲法では、天皇は象徴とされている。

日本は明治時代から昭和時代にかけて、さまざまな戦争を経験してきた。これらの戦争は、国民が天皇を神として崇める天皇制が要因の1つであった。

その反省を踏まえ、国を動かしていくのは、あくまで国民1人1人であるというのを明確化したのが、この国民主権である。

2.平和主義

平和主義もまた国民主権同様に、戦争の反省から生まれた原則である。

日本は原子爆弾を2度も投下されるなど、悲惨な戦争体験をしてきた。

そういった戦争を二度と繰り返してはいけないという強い思いから、この平和主義という原則が定められた。

平和主義については、日本国憲法第9条にその記載がある。

三大原則:平和主義

第9条【戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認】
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(Wikipedia

この項目を簡単にまとめると、以下のようになる。

  • 日本は戦争をしない
  • 外国との争いを解決する手段として武力を使わない
  • 陸軍・海軍・空軍といった戦力を持たない
  • 国が外国と戦争をする権限を認めない

ここで気になるのが自衛隊の存在だ。自衛隊は戦力に該当しないのだろうか。

政府の見解では、自衛隊は戦力とは見なされない。自衛隊は国を守る上で、必要最小限度の自衛力だと考えられている。そのため、攻撃的な兵器などは保持しないように決められている。

参照:憲法と自衛権 | 防衛省・自衛隊

3.基本的人権

基本的人権とは、人間が生まれてから死ぬまでに自由に生きるための権利である。他にも平等に生きる権利や安全に生きる権利などをまとめて基本的人権と言っている。

現在は基本的人権は当たり前すぎて、その価値を実感することが難しい。

たとえば、1925年に制定された治安維持法では、天皇制に反対したり、意見を言ったりすると逮捕されてしまった。場合によっては天皇制を批判することで死刑になってしまうこともあった。

今はもちろん、このようなことはありえない。意見を言っただけで逮捕など、日本ではあり得ないと考えるのが当然だ。

これは基本的人権の中の自由権によって、精神の自由が保障されているからである。

義務教育は三大権利?三大義務?

小学校や中学校は義務教育なので、子供は学校に通わなければならない。

もしかすると、そのように考えている人も多いかもしれない。

子供が学校に行くのが義務教育というのは、大きな誤解である。

子供が持っているのは「教育を受ける権利」であって、「教育を受ける義務」ではない。

しかし、周りの大人が「子供が学校に行くのは義務なんだよ」と教えるものだから、そのように勘違いしてしまう人が多いのだ。このような言い方は、親が子供を学校に行かせるための方便でしかない。

義務教育は三大権利?三大義務?

実際のところ、保護者が子供に教育を受けさせるのが義務なのだ。

教育の義務は、国民の三大義務の1つでもある。

もう1つ勘違いしがちなのが、親には必ず子供を学校に行かせる義務があるということだ。

子供を小中学校に通わせることを義務教育だと勘違いしてしまうと、不登校の子供を持つ親は、義務違反していることになってしまう。

実際、そういったことは義務違反にはならない。

もちろん、子供をまったく学校に行かせないで働かせたり、ただ遊ばせておくのは義務違反だ。これには罰則規定もある。

そうではなく、しっかり子供を学校に通わせるための環境を整えているにも関わらず、何らかの理由があって子供が学校に行かない場合は、義務違反にはならない。

そのため、厳密には子供に教育の機会を与えることは義務であるが、とにかく学校に通わせるということは義務ではないのだ。

つまり義務教育とは、政府や自治体、保護者などが、子供たちに対して小学校・中学校の教育環境を整えてあげることである。

子供が小中学校に行くのは義務ではないし、親が何が何でも無理矢理に子供を学校に通わせるのも義務ではないので、しっかり正しく理解しておこう。

▼参考

総括:三大権利は【生存権・教育を受ける権利・参政権】である

日本には、三大原則や三大権利、三大義務など、さまざまな決めごとがある。何となくで覚えていると、どれが権利で、どれが義務だったのか誤ってしまうことが多い。

三大義務は、次の3つだ。

  1. 教育の義務
  2. 勤労の義務
  3. 納税の義務

それに対して三大権利は、下記3つである。

  1. 生存権
  2. 教育を受ける権利
  3. 参政権

さらに日本国憲法の三大原則は、以下の3つ。

  1. 国民主権
  2. 基本的人権の尊重
  3. 平和主義

特に間違いやすいのが教育である。

教育の義務と教育を受ける権利の2つがあるため、どちらがどういった意味合いなのかは今回の記事からしっかり学んで欲しい。

子供が学校に行くのは教育を受ける権利であり、保護者が子供に教育の機会を与えることが義務だ。誤りやすいポイントなので、しっかり覚えておいて欲しい。

 

スポンサーリンク

© 2021 One Million Labo