兄弟や姉妹では結婚できないというのは誰もが知っているだろう。
では、いとこと結婚はできるのだろうか。
自分の親の兄弟や姉妹の子供にあたるのがいとこだ。めったに会う機会がないという人もいれば、近くに住んでいて普段から良く会うという人もいるだろう。
近所に住んでいて、小さい頃から一緒に過ごしていれば、恋に落ちたとしても不思議なことはない。
ここでは、いとこ同士で結婚はできるのか、いとこ同士の結婚のメリットとデメリット、いとこ同士で結婚している有名人について、詳しく紹介していく。
なお、下記にて、先に結論を述べているので確認してみてほしい。
いとこと結婚(従兄弟同士)は・・
- 日本では3親等以内の結婚は法律で禁止されている
- いとこは4親等にあたるため結婚できる
- 民法734条では近親間の婚姻の禁止が定められているが・・
いとこは4親等に当たるため、法律上結婚することは可能 - 日本国内では、江戸時代頃まで、いとこ同士で結婚することはよくあった
特に地位が高い人たち - いとこ同士で結婚すると親戚付き合いがスムーズになる
ただし、離婚した後でも親戚付き合いは続いてしまうデメリットあり - いとこ婚が決まったら結婚前にしておきたいこと
- 子供に障害ができやすい=先天性の病気にかかりやすい
通常よりリスクが高い - 海外事情は・・
アメリカでは50個ある州のうち、25の州でいとこ同士の結婚が禁じられている
中国は1981年の婚姻法でいとこ同士の結婚が禁止されている
台湾、北朝鮮、フィリピンなどでも、いとこ同士の婚姻は禁じられている - いとこ同士で結婚した有名人は意外と多い
菅直人・佐藤栄作・アインシュタインなど - いとこ同士の結婚式に招かれた場合
服装は一般的な結婚式と同じで問題ない
ご祝儀は未婚か既婚かで変わってくる・・
3万円または5万円が相場
いとこと結婚について(従兄弟同士)
日本では3親等以内の結婚は法律で禁止されている。
いとことは、法律的に見ると何親等にあたるのだろうか。
- 1親等:自分の両親、配偶者、子供
- 2親等:兄弟、姉妹、祖父母、孫
- 3親等:曾祖父母、おじさん、おばさん、甥、姪
- 4親等:いとこ、大おじ、大おば(祖父母の兄弟姉妹)、玄孫
このようにいとこは4親等にあたる。
親等は、親族関係の遠近を表しており、数字が小さいほど、血のつながりがつよくなる。
いとこ同士の結婚は法律で認められている
民法734条で、近親間の婚姻の禁止が定められている。
第734条
1.直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。2.第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
民法734条より引用
3親等以内の結婚は禁じられているため、おじさんや姪などと結婚することはできない。
けれども、いとこは4親等に当たるため、法律上結婚することは可能なのだ。
日本では昔、いとこ同士の結婚は普通だった
日本国内では、江戸時代ころまで、いとこ同士で結婚することはよくあった。
特に地位が高い人たちは、血統を重視していたため、血を濃く保つために近親で結婚することは当たり前だった。
また、昔は親同士が結婚相手を決めることがよくあり、住んでいる場所が近くにあることが多いいとこ同士が結婚することは、めずらしいことではなかった。
時代が進むにつれて、結婚相手を自由に選べるようになると、こうしたいとこ同士の結婚は徐々に減っていった。
出会いの機会が格段に増え、マッチングアプリを使って婚活することも当たり前になってきたため、自分の意思で結婚する流れが普通になった。
その結果、「いとこ同士で結婚するのはおかしい」というイメージが持たれるようになった。
メリット=親戚付き合いがスムーズ
いとこ同士で結婚する場合、お互いが初めから親戚同士ということになる。
そのため、小さな頃からずっと付き合いが続いていることが多く、親戚付き合いがスムーズにできる。
通常だと、結婚をきっかけに、まったくつながりがなかった人たちが、急に親戚になるため、価値観の違いがあったり、人間関係がギクシャクしてしまったりと、いろいろなトラブルが発生することがある。
いとこ同士の結婚だと、もともと両家が親族であるため、そういったトラブルの心配も少ない。相手の気心も分かっているため、良い関係が構築しやすい。親戚づきあいもそれほど気を遣わなくて良い。
また、相手のことを昔から知っているため、結婚してからのギャップが少なくて済む。
育った環境が似ていることが多く、金銭感覚や料理の味付けなどの好みが似ていることも多い。
結婚すると「こんな人だとは思わなかった!」と感じることも少なくない。もともとは他人のため、自然といえば自然のことだ。
相手がいとこだと小さい頃から相手のことを知っているため、そういったギャップを感じる可能性は低い。幼なじみ同然に育っていれば、お互いが思っていることを言い合える良い夫婦になりやすい。
また、嫁姑問題が起こりづらいのも大きなメリットだ。
嫁姑がお互いの性格をよくわかっているため、もともとの関係が良好ならば、嫁姑問題はほとんど起こらないだろう。
いとこの両親のどちらかが自分の親に兄弟にあたるため、何か問題があったときに相談もしやすい。お互いの家族同士の付き合いが長いからこそ、トラブル解決にもつながりやすい。
お互いの両親が兄弟姉妹にあたるため、夫婦間のことも親に相談しやすいというメリットがある。
親同士も親戚のため、印象のみで相手を悪くいうような心配もない。
デメリット=離婚した後でも親戚付き合いは続く
いとこ同士で結婚することには、さまざまなメリットがあるが、もちろんデメリットもある。
大きな問題が万が一、離婚したときだ。
通常、離婚した場合、お互いのつながりが切れてしまうため、相手の両親や親戚と会うことはまったくなくなる。
しかし、いとこ同士の場合、離婚した後でも親戚づきあいは続く。
何かの行事でみんなで顔を合わせる場合、なかなか気まずいものがある。
円満に離婚をして、お互いの親族もそれを了承しているならば良いのだが、離婚をきっかけに親戚づきあいが疎遠になってしまう可能性も十分にある。
そうなると、自分の両親だけでなく、他の親戚にまで迷惑が及んでしまうことになる。
また、いとこ同士の結婚は法律上、何の問題もないのだが、偏見の目で見られたり、差別的な目で見られる可能性もある。
いとこ同士の結婚は、少数派のため、嫌悪感を持っている人もいる。
もしかすると、いとこ同士で結婚することが問題ないということを知らない人もいるかもしれない。
そのため、親戚や友人など周りの人から反対されてしまう可能性がある。
場合によっては、心ない言葉を投げかけられてしまう恐れもあるため、そういった覚悟は持っておきたい。
いとこ婚が決まったら結婚前にすべきこと
いとこ同士で結婚する前に、まずはお互いの気持ちを確かめることが重要だ。
親戚との付き合い方など、メリットとデメリットを踏まえた上で、将来を見据えた話し合いをしよう。
また、戸籍などで正確な血縁関係を調べておいたほうがいい。
自分たちが本当にいとこ同士なのかを確かめるだけでなく、両親の関係性も明らかにしておくことが大切だ。
もし両親もいとこ婚をしている場合、通常のいとこ婚よりも血が濃くなってしまうため、子どもに障がいがでやすくなってしまう。そうなると結婚を諦めなければならないこともある。
ただし子どもを生まないと決意している場合は、自分たち以外の血縁関係はそこまで気にしなくてもいいだろう。
いとこ婚に限ったことではないが、家族への報告は早めにしておこう。
まずは家族に報告して理解を得ることが大切だ。
家族の賛成があれば、周りの人や親戚の人にも報告しやすくなる。結婚に向けての準備もしやすくなるだろう。
反対意見があった場合は、誠意を持って自分たちの気持ちを伝えるようにしたい。
そうすれば二人の意思が固いことが伝わり、理解してもらえるかもしれない。
将来のことを考えて、二人だけの問題と捉えず、たとえ時間がかかっても家族や親戚に祝福してもらえることを目指そう。
子供に障害ができやすい=先天性の病気にかかりやすい
いとこ同士の結婚は、血縁同士の結婚になるため、通常の結婚と比べ、先天性の病気にかかってしまう可能性が高くなる。
そもそもどうして法律で三等親以内の結婚を禁じているかというと、血のつながりが濃いほど、子供に障害があったり、奇形児が生まれてしまう可能性が高まるからだ。
実際、通常の結婚では障害児が生まれてくる可能性は1.02%程度、いとこ同士の結婚の場合は1.69%と、確率も高くなる。
参照:遺伝相談 | レディースクリニックつねざわ
もちろん子供を望まない場合は、そこまで気にすることではないが、将来子供を授かろうと考えているならば、こういった問題についても十分に頭に入れておきたい。
子供を作る=通常よりリスクが高い
生まれてくる子供が障害を持っている可能性は、どんな夫婦にだってある。
しかし、いとこ同士の場合、そのリスクが上がってしまうことはしっかりと理解しておきたい。
もちろん、必ずしも障害を抱えてくるわけではない。数値で見れば、ほんの数パーセントでしかない。
けれども、血のつながりが濃いということは、それだけ遺伝子的に似たものを持って生まれることになる。2人の劣性遺伝子が組み合わさることで、遺伝病を抱えてしまう可能性も高くなってしまう。
ただ、まだまだ遺伝子のことは分からないことが多いため、いとこ同士ならば、そこまで気にする必要はないという考えもある。
多少なりとも障害を持つリスクが高いということは、しっかり理解しておこう。
いとことの結婚(従兄弟同士)=理解すべきポイント
通常の結婚でももちろんそうなのだが、いとこ同士で結婚する場合、両親の理解を得ることが非常に重要である。
結婚は2人だけの問題ではなく、お互いの家族や親戚にまで影響がでてくる。親族同士の結婚となれば、抵抗がある人も少なくない。
いくら相手のことを愛しているからといって感情的になるのではなく、ゆっくりと時間をかけて両親の理解を獲得していくことが大切だ。
また、結婚式を挙げるかどうかも慎重に考えたい。
親戚の中には、いとこ同士の結婚をタブーと捉えている人もいるかもれいない。また、結婚式に友達や同僚を招待するならば、自分たちがいとこ婚であることを公表することになる。
法律上、いとこ同士で結婚することは問題ものの、偏見の目で見る人が周辺にいないとは限らない。
そのため、結婚式を挙げる場合は、列席者を厳選したり、身内だけで行うなど、トラブルに発展しない方法を考えたい。
海外での事例:アメリカ・中国・台湾・北朝鮮・フィリピン
日本では法律上、いとこ同士の結婚は認められている。
では、海外ではどうなっているのだろうか。
アメリカでは50個ある州のうち、25の州でいとこ同士の結婚が禁じられている。また、別の6州では、特殊事情がある場合のみ、いとこ同士の結婚が認められている。
中国では昔は農業地域でいとこ婚が多かったのだが、1981年の婚姻法でいとこ同士の結婚が禁止されている。
また、台湾、北朝鮮、フィリピンなどでも、いとこ同士の婚姻は禁じられている。
いとこ同士で結婚した有名人は意外と多い
菅直人
佐藤栄作
アインシュタイン
政治家で、元内閣総理大臣の菅直人さんは、いとこ同士で結婚している。信子夫人が津田塾大学に入学したときに、菅家で下宿したことをきっかけに2人の関係性が深まったそうだ。
両家から激しい反対を受けて、何度も家族会議が開かれたものの、話がどんどん逸れていってしまい、最後はみんな疲れて寝てしまったというエピソードがある。
同じく政治家で、元内閣総理大臣だった岸信介さんも、いとこ同士で結婚していた。さまざまな役職をまかされ「昭和の妖怪」とも言われた政治家で、元内閣総理大臣、安倍晋三さんの祖父でもある。
さらに岸信介さんの弟である佐藤栄作さんもいとこ同士で結婚しているため、一族にいとこ同士の結婚に対して抵抗がなかったことがうかがえる。
「相対性理論」で有名な20世紀の天才、アルベルト・アインシュタインも、いとこ同士の結婚をしている。最初の妻であるミレーバとは、大学時代に出会ったのだが、結婚中、いとこのエルザと7年間にわたって不倫関係を続けていた。ミレーバと離婚してからは、いとこのエルザと再婚している。
近年では日本の文豪・芥川龍之介の長男である芥川比呂志さんが、芥川龍之介の姉の長女である芥川瑠璃子さんと結婚している。
芥川比呂志さんは日本の俳優・演出家で、多くの著作や出演作を残している。また芥川瑠璃子さんは詩人・随筆家として活躍している。
どちらも著名人であるが、いとこ同士の結婚について反対されたという話は聞かない。
いとこ同士の結婚式に招かれた場合
服装は一般的な結婚式と同じで問題ない。
男性ならば、礼服のブラックスーツやダークスーツなどを着用する。ネクタイは白系で、革靴は黒で揃えよう。
礼服を持っていない場合は、ネイビーやチャコールといった色のスーツでも大丈夫だ。
女性ならば、ドレスと着物、どちらでも問題ない。
ただし、親族間でどちらか決まっている場合もあるため、あらかじめ両親に確認しておくことをおすすめする。
ご祝儀は未婚か既婚かで変わってくる。
学生などで未婚、さらに両親と出席する場合は、両親と一緒にご祝儀を渡すのが一般的だ。
その場合の金額は両親に任せた方がいい。もし、自分が金額を決める場合は、3万円または5万円が相場だ。
ただし、親族同士で金額が取り決められている場合もあるため、事前に他の親戚に確認しておこう。
現在、既婚者で夫婦でいとこの結婚式に出席する場合は、2人分のご祝儀が必要となる。1人あたりの相場は3万円なので、2人で6万円というのが無難だ。
偶数の金額は縁起が悪いため、5万円や7万円といった金額を選ぶ場合も多い。
いとこと結婚(従兄弟同士)について総括
日本ではいとこ同士の結婚は法律によって認められている。
ただし、いとこ同士の結婚を良く思わない人もいるため、結婚式を挙げる際などには注意が必要だ。
また、いとこ同士で結婚して子供を作る場合、一般的な夫婦よりも障害が出るリスクが高まることもしっかり頭に入れておきたい。
いとこ同士の結婚は、もともとがお互いのことを知っているため、メリットもあるが、近いからこそのデメリットもある。
メリットとデメリットの両方を理解した上で、いとこ同士の結婚について考えよう。