死兆星(しちょうせい)をご存知だろうか。
漫画好きなら北斗の拳で名前を知ったという人も多いかもしれない。死兆星は漫画に出てくる架空の星ではなく、実際に存在している星である。
死兆星はおおぐま座の恒星で、北斗七星のそばに寄り添うように輝いている。北斗の拳では、死兆星が見えた者は死期が近いといわれており、ストーリー上重要な星となっている。
死兆星にまつわるセリフや名言は数多く、物語を盛り上げる一役を買っているといっても過言ではない。
そこで、北斗の拳での死兆星と、現実での死兆星について解説しようと思う。
記事の内容
- 死兆星の位置
- 死兆星は一年中見える星
- 死兆星の英語表記
- 死兆星を見たいなら画像がおすすめ
- 死兆星とは?北斗の拳での伝説
- ラオウは死兆星アンケートを取っていた?
- ラオウが死兆星を見た戦い
- 死兆星にかかわるセリフや名言
ラオウ・トキ・ケンシロウ・レイ・マミヤ - 蒼天の拳での死兆星
- 総括
死兆星の位置=ミザールの横で輝く星
死兆星はおおぐま座の恒星であるが、おおぐま座というより北斗七星といったほうが分かりやすいだろう。北斗七星の柄の先端から数えて2番目にある恒星、ミザールのすぐ横で小さく輝くのが死兆星である。
おおぐま座は北に位置する正座で、寄り添うようにある死兆星も北で見ることができる。おおぐま座は分からなくても、ひしゃくの形をした北斗七星を見つければよいので、天体観測初心者でも位置としては分かりやすいだろう。
ちなみに、おおぐま座よりも知名度の高い北斗七星だが、北斗七星は星座ではない。あくまでも、おおぐま座の一部で尻尾に当たる部分なので誤解しないようにしたい。
死兆星は一年中見える星
死兆星はおおぐま座の一部である北斗七星の側にあり、北極星からも近く北を見れば一年中見ることができる。天高く上る春から夏にかけてが最も見やすい。
死兆星は一年中見える星ではあるがミザールとの距離が近いので、肉眼で見えるかは別問題である。
視力が良い人ならミザールと死兆星が二つ並んでみえるのだが、視力がさほど良くないと星がひとつにしか見えない。そのため古代のアラビア人は、徴兵のための視力検査で死兆星を利用していた。
日本でも地域によっては、「寿命星」や「四十暮れ」と呼ばれていた。年を取ってくると視力が衰えてくることから、死兆星が見えなくなると死期が近いといわれていたようだ。
北斗の拳では死兆星が見えた者は死期が近いとされていたが、現実では見えなくなると死期が近いと考えられていた。
死兆星の英語表記
死兆星の英語表記は、Alcor(アルコル)である。学名は「g Ursae Majoris」または「80 Ursae Majoris」であるが、Alcor(アルコル)と覚えておけば問題はないだろう。
Alcor(アルコル)の名称についてはアラビア語で「かすかなもの」という言葉に由来するとされる説、北斗七星を構成するε星に名付けられていた「al-jaun」が誤って伝わり「Alcor」となった説がある。後者の説では死兆星の本来の名前は「忘れられたもの」「拒絶されたもの」という意味の言葉だったとしている。
どちらにしても、肉眼で見えるか見えないかの死兆星を表す名前としてはぴったりではないだろうか。
死兆星を見たいなら画像がおすすめ
死兆星はよほど視力が良くないと、肉眼で見るのは難しい星である。星は明るい順に1等星、2等星と呼ばれ、死兆星は4等星だ。1等星の明るさを電球100個だとすると、4等星の死兆星は電球6.25個分の明るさしかない。
ちなみに1等星で有名な星はシリウスで、太陽以外では最も明るく見える星である。
明るい市街地などでは視力が良くても見えづらい星なのである。なので、確実に死兆星を見たいのならば画像で確認することをおすすめする。
どうしても肉眼で死兆星を見てみたいのならば、空気が澄んだ山の上や街の灯かりが少ない郊外などで試してみるといいだろう。
死兆星とは?北斗の拳での伝説
北斗の拳では「死兆星を見た者は死期が近い」または「死期が近い者の頭上に死兆星が輝く」といわれている。作中で死兆星を見たキャラクターはほとんどが死亡しているが、死を迎えていないキャラクターもいることから、絶対ということではないようだ。
死の運命を回避することができれば、死兆星が見えなくなると推測されるような描写もある。北斗の拳ではラオウ、トキ、ケンシロウ、マミヤ、レイなど、キャラクターの多くが死兆星を見ている。
また、他にも北斗神拳には「互角の拳を持つ強者相戦う時、その両者の頭上に死兆星輝く」という伝説が存在する。
この伝説の通りラオウとトキが約束の地で闘ったときにラオウの頭上にも死兆星が現れた。それまでラオウは死兆星が見えていなかったことから、トキがラオウと互角の拳を持っていたことの証明でもある。
ラオウは死兆星アンケートを取っていた?
北斗の拳の中で絶対的な人気を誇るラオウだが、一部では「死兆星アンケートおじさん」といった不名誉なあだ名を付けられている。ラオウは戦う前に「死兆星を見たか」と聞き、相手が「見ていない」と答えると「まだ俺と戦うときではない」と返す。
戦う相手が死兆星を見ていないということは、死期が迫っていないということになる。戦っても相手は死なない、つまり自分が負ける戦いかもしれないということ。ラオウは戦う前に死兆星を見たかどうかのアンケートを取り、見た相手としか戦わないのである。
確かに、死兆星が見えている=死が近い相手としか戦わなければ負けることはない。つまり勝ち戦しかしないのではないか?そんなラオウの行動を「死兆星アンケートおじさん」と呼んでいるようだ。
だが「互角の拳を持つ強者相戦う時、その両者の頭上に死兆星輝く」という北斗神拳の伝説からすると、互角の相手ではないから今はまだ戦うときではないという解釈もできる。雑魚は相手にしないのがラオウである。どちらにしても話題に上るほどラオウの人気は高いということだろう。
ラオウが死兆星アンケートおじさんって呼ばれてるの面白すぎる
— ヒヒ落ちました (@mopemopenus) January 30, 2021
ラオウが死兆星を見た戦い
ラオウが初めて自分に輝く死兆星を見たのは、実弟であるトキとの戦いである。
アニメでは第71話、コミックでは12巻だ。「俺が道を誤ったらその拳で俺の拳を封じてくれ」という子供の頃の誓いを果たすために、秘孔刹活孔を突き、自分の寿命を縮めてまでもラオウを止めることを選んだトキ。純粋に拳法家としてラオウと戦いたかったという気持ちもあったのかもしれないが、実の血を分けた兄弟だからこそ止めなければならなかったのだろう。
ラオウの拳をトキが受け止めトキが剛の拳を放つと、今まで見えなかったラオウの頭上に突然死兆星が輝いた。トキに「天を見よ!見えるはずだ。あの死兆星が!」といわれ、ラオウは動揺する。
最終的にトキが敗北しラオウが勝利を収めはしたが、死兆星を見たことでラオウは初めて負けるかもしれない恐怖を感じたのではないだろうか。
死兆星にかかわるセリフや名言
北斗の拳には多くの名言が存在する。ラオウの名言「我が生涯に 一片の悔いなし」やケンシロウの「お前はもう死んでいる」は、北斗の拳を知らなくても一度くらいは聞いたことがあるセリフではないだろうか。
北斗の拳の多くの名言やセリフから、死兆星にかかわる名言やセリフを集めてみたのでご紹介しようと思う。
ラオウ:うぬは死兆星を見たことがあるか?
「うぬは死兆星を見たことがあるか?」
戦う前にラオウが相手に問いかけるセリフ。見たことがないと答えると、まだ戦うときではないと返される。このセリフから、世紀末覇王を名乗るラオウでさえも、死兆星のことは気になっていることが分かる。
「な…なんと我が頭上に死兆星が!!」
トキとの戦いで、トキが剛の拳を使ったときにラオウの頭上に死兆星が輝いた。このときラオウは初めて死兆星を見たことになる。
トキ:この拳はわたしの最期の戦い・・
「この拳はわたしの最期の戦いすなわち!! あなたとの戦いまでは使わぬと誓っていた!!天を見よ!! 見えるはずだ、あの死兆星が!!」
約束の場所でラオウと戦ったトキが、ラオウと同じ剛の拳を使ったときに放ったセリフ。北斗神拳の「互角の拳を持つ強者相戦う時、その両者の頭上に死兆星輝く」という伝説が本当なら、トキとラオウが互角になったということだろう。
「輔星(ほせい)・・・北斗七星の横に寄り添うように光る星、またの名を死兆星。この星が見える者はその年の内に死が訪れると言うが・・・あの星をこうして見つめる時がこようとは・・・」
カサンドラを後にし、野宿をするトキとマミヤ。
焚き火の薪になる木をマミヤが拾いに行き、焚き火の前で一人になったトキが夜空を見上げながらつぶやいたのがこのセリフである。
ケンシロウ:ラオウ貴様が握るのは天ではなく死兆星だ
「ラオウ貴様が握るのは天ではなく死兆星だ!!」
リンとアイリがいる村を襲おうとしていた拳王軍。
ケンシロウがラオウと真正面から対峙した戦いで、ラオウの非道さに怒りが爆発した。
レイ:マミヤ・・・どこまでも哀しい女よ
「マミヤ・・・どこまでも哀しい女よ ならば おまえのためだけに死ぬ男がひとりぐらいいてもいい」
わずかな余命で心惹かれる女性マミヤのために、彼女の両親の敵であるユダを倒す決意をするレイ。
マミヤを捕らえていたユダは、マミヤに死兆星が見えていることを告げる。そのときに涙を流しながらレイが告げたセリフである。
女性の心をぐっと掴むような名言で、レイが女性人気の高いキャラクターだったことに納得せざるを得ない。
「マミヤ・・・いいか死兆星が頭上に落ちる日まで精一杯生きろ!!たとえ一瞬でもいい!女として生きろ女の幸福を求めるのだ!!」
上記のユダとの戦いで、ユダに勝利し最後のときを迎えたレイ。最後までマミヤの女性としての幸せを望むセリフが言えるレイもまた、漢の中の漢だろう。
マミヤ:私じゃとうていかなわないな・・・
「私じゃとうていかなわないな・・・でもいいんだ私はあの星で、あの北斗七星の横でいつもひっそり光っている・・・あの小さな星で」
自分と良く似ているというユリアのことをトキに尋ねているときに、マミヤがつぶやいたセリフ。
これによりマミヤにも死兆星が見えていることが分かり、トキは衝撃を受けた。
蒼天の拳での死兆星
ケンシロウの2代前の北斗神拳伝承者の霞拳志郎が主人公である蒼天の拳でも、死兆星は「見えると死期が近い」とされている。
彪白鳳(ひょうはくほう)やエリカといったキャラクターが死兆星を見ていますが、北斗の拳ほど死兆星についてのエピソードはない。
北斗の拳で死兆星がストーリー的に重要だったのは、やはり「死兆星を見たか」といちいち確認するラオウがいたからだろうか。
総括:死兆星は現実に存在している星である
死兆星は北斗の拳に出てくる創作と思っていた人もいるかもしれないが、現実に存在している星である。
ただ、北斗の拳は星座を多く取り入れた内容であるため、北斗七星に寄り添う死兆星が見えると死期が近いという設定は物語をよりドラマチックにしてくれる。
たまには空を見上げて天体観測をしてみるのもいいかもしれない。
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